黒色素胞刺激ホルモン抑制因子(読み)こくしきそほうしげきほるもんよくせいいんし

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

黒色素胞刺激ホルモン抑制因子
こくしきそほうしげきほるもんよくせいいんし

動物の体色変化に関するホルモンの分泌を抑制する物質で、MSH抑制因子すなわちMSH-release-inhibiting factor (hormone)、略してMIF(またはMIH)とよぶ。MIFは大脳の視床下部から生産、放出され、下垂体中葉細胞に働いて黒色素胞刺激ホルモン(MSH)の分泌を抑制する。化学構造はH-Pro-Leu-Gly-NH2で、下垂体後葉ホルモンの一つであるオキシトシン側鎖の部分にあたる。しかし、下垂体中葉には、視床下部から神経伝達物質として働くドーパミン性の神経線維が進入し、直接中葉細胞に接してMSHの分泌を抑制的に調節している。

 MIFのほかに、MSH放出因子MSH-releasing factor(略してMRF)も知られている。オキシトシンの環構造の部分にあたるトシノイック酸tocinoic acidが、ある濃度でMRFとして作用する。

[小林靖夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android