黒胆汁(読み)こくたんじゅう

世界大百科事典(旧版)内の黒胆汁の言及

【体液】より

…中国や日本など東洋の医学で,昔から気や風の変化から疾患を〈病む気〉,つまり〈病気〉として説明してきたのとはきわめて対照的で,こうした体液病理学による医学的思考は,ルネサンス以後に解剖学が進歩して器官の病理学(固体病理学)と入れかわるまで,ヨーロッパで支配的だった。 古代ギリシア・ローマでヒッポクラテスやガレノスらにより取り上げられるのは,粘液phlegm,血液blood,黒胆汁melancholy(black bile),胆汁(黄胆汁choler,yellow bile)という4種の体液であり,これらの平衡と調和を保つことが健康の条件で,ある体液に過剰,不足,移動などが起これば,心身の変調や病態が生じると考えられた。例えば,癲癇(てんかん)の発作は,冷たい粘液が突然脈管内に流れ込んで血液を冷却,停滞させる場合に起こるが,粘液流が多量で濃厚なときには,血液を凝結させるから,直ちに死を招く。…

【メランコリー】より

…もとは古代ギリシア・ローマで医学用語として使われたのが始まりで,この伝統は二千数百年後の今日も精神医学の分野でなお受け継がれており,その限りでは〈鬱病〉というふうに意味がせばまる。ギリシア語のメライナmelainaまたはメランmelan(黒い)とコレcholē(胆汁)の合成からなることでもわかるように,体液のなかで黒胆汁が過剰になるのがこの病で,ギリシア語ではメランコリアmelancholiaと呼ばれた。他方,陰鬱で無気力で動きののろい人間のタイプもあって,その場合には黒胆汁が4種の体液のうちいつも優位を占めているとみなされ,この種の気質は〈黒胆汁的(メランコリコスmelancholikos)〉という形容詞で呼ばれた。…

※「黒胆汁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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