黒石市(読み)クロイシシ

デジタル大辞泉 「黒石市」の意味・読み・例文・類語

くろいし‐し【黒石市】

黒石

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「黒石市」の解説

黒石市
くろいしし

面積:二一六・三二平方キロ

青森県中央部。市域西部は津軽平野の東南部を占める水田地帯。東部は標高一五一六・五メートルのくしヶ峯を最高とする黒森くろもり山・二ッ森ふたっもり田代たしろ山・富岡とみおか山・貝吹かいふき山・いかずち山・毛無けなし山・よこ岳・南沢みなみさわ岳などの山々が連なり、その間を流れる浅瀬石あせいし川流域は黒石温泉郷となっている。集落は東部山間部から流れる浅瀬石川中野なかの川・川に沿って分布し、中心市街地は浅瀬石川北岸の高台に展開する。

市名の文献上の初見は、興国四年(一三四三)六月二〇日の工藤貞行の妻しれんの尼しれん譲状(遠野南部文書)にみえる「久ろいし」である。

〔原始・古代〕

縄文時代の遺跡はほとんどが前・中・後・晩期に属し、市東部の浅瀬石川流域の厚目内あつめない葛川平くずかわたい南中野みなみなかの落合おちあい上野うわの板留いたどめ花巻はなまき豊岡とよおか石名坂いしなざか、市南部の浅瀬石・高賀野こうがの、市北部の長坂ながさか高館たかだて竹鼻たけはななどに分布する。このなかでは、花巻の円筒上層式土器が有名で、菅江真澄の寛政一〇年(一七九八)の「津軽のつと」にも紹介されている。土師器須恵器などを出土する遺跡としては、市北部の高館・安入あにゆう派立はだち上十川かみとがわ、市東部の牡丹平南ぼたんだいらみなみ、市南部の浅瀬石などの遺跡がある。竪穴住居の遺跡として牡丹平南遺跡・浅瀬石遺跡がある。

〔中世〕

遠野南部文書や天文年間(一五三二―五五)の津軽郡中名字によれば、現黒石市域の北部は奥法おきのり郡に属し、南部の一部は平賀ひらか郡に属し、東・西・南部の一部は田舎いなか郡に属していたと思われる。鎌倉時代に田舎郡には工藤氏が入部し、黒石郷などを支配した。その居所は境松さかいまつ黒石城跡であるとされている(浅瀬石川郷土誌)。工藤氏については元弘―建武(一三三一―三六)の頃活躍した工藤祐貞・貞行以外は明らかでない。興国四年六月二〇日の尼しれん譲状によれば、「久ろいしの所里やう」は、尼しれんから嫡女の加伊寿御前へ譲り渡され「いしなさかをか」は妹の「ふくしゆこせん」に譲られている。翌五年二月一三日同じ尼しれんが力寿丸(南部信光の幼名)に尼しれん譲状(遠野南部文書)を出している。

<資料は省略されています>

「陸奥国津軽田舎郡黒石郷」は正平一五年(一三六〇)六月五日の北畠顕信教書(遠野南部文書)により、南部信光に安堵された。

黒石郷に対する根城南部氏の支配は、弘和二年(一三八二)二月二一日のそへ寄進状(新渡戸文書)にもうかがわれ、康正―長禄(一四五五―六〇)頃まで続いたという(津軽黒石藩史)

天文年間の津軽郡中名字には、現黒石市域内の地名として、奥法郡の「黒石」「欝虫野ウツクイノ(現牡丹平・柵ノ木付近)、「富内」(現飛内)、「二皐至ニソウシ(現二双子)、「長谷沢」(現上十川の長谷沢)、「黄檗平キハタタイ(現南中野の黒森付近)、「目内沢田」(現目内沢)、「野端ノキハ(現野際)があり、平賀郡に「汗石近代浅瀬石ト書ク(現浅瀬石)、田舎郡山辺に「袋」(現袋)、「馬音内マウナイ(現袋の毛内)、「峨々岑沢カヽムシ(現温湯の蛾虫下)、「熱後湯ヌルユ(現温湯)、「板留」(現板留)、「石難坂イシナサカ(現石名坂)、「中川」(現中川)などが記されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「黒石市」の意味・わかりやすい解説

黒石〔市〕
くろいし

青森県南部にある市。 1954年黒石町と山形,浅瀬石 (あせいし) ,中郷 (なかごう) ,六郷 (ろくごう) の4村が合体して市制。市域は津軽平野南東部から奥羽山脈の山地にかけて広がり,岩木川の支流浅瀬石川に沿う。中心市街地は弘前藩の支藩,黒石藩1万石の城下町として発展。青森県農業試験場,青森県りんご試験場があり,米作リンゴの栽培が盛んである。浅瀬石川に沿って黒石温泉郷がある。十和田湖観光の西の玄関にあたり,市域が黒石温泉郷県立自然公園に属する。東西に国道 102号線 (十和田道) ,南北に東北自動車道が通り,黒石インターチェンジがある。面積 217.05km2。人口 3万1946(2020)。

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