黒潮(町)(読み)くろしお

日本大百科全書(ニッポニカ) 「黒潮(町)」の意味・わかりやすい解説

黒潮(町)
くろしお

高知県南西部、幡多(はた)郡にある町。2006年(平成18)、幡多郡佐賀町(さがちょう)、大方町(おおがたちょう)が合併して成立。東から南にかけて土佐湾に面する。北東部を伊与木(いよき)川、南部を蜷(みな)川、湊(みなと)川、蛎瀬(かきせ)川などが南流して土佐湾に注ぐ。気候は温暖で、年平均気温17℃、年間降水量は2800ミリメートルに達する。土佐くろしお鉄道中村線が若井ループトンネルを通過して、また国道56号が北の窪川(くぼかわ)台地から片坂峠を経てそれぞれ町内に入り、おおむね海岸部沿いに町域を縦貫する。

 東部は伊与木川沿いの低地をのぞくと山地である。伊与木川河口の佐賀は漁港で、近世には土佐湾捕鯨地の一つとなっていた。古くからカツオやブリ漁が盛んで、現在もカツオ一本釣り漁が行われている。佐賀港周辺は鹿島ヶ浦とよばれ、土佐西南大規模公園に含まれる。沖合いの鹿島は原始林で覆われ、全島が県の自然環境保全地域。西部は中世には一条家領の大方荘(しょう)となった。元弘(げんこう)の乱(1331)に敗れた後醍醐天皇の皇子尊良親王(たかながしんのう)の流刑地であり、親王関係の史跡がある。海岸には、戦国時代に始まる防潮保安林の入野松原(いりのまつばら)が3キロメートルにわたって続き、国指定名勝となっている。そのほか、式内社加茂神社、大方出身の作家上林暁(かんばやしあかつき)を記念した「大方あかつき館」などがある。稲作のほかに、キュウリなどの蔬菜(そさい)や花卉(かき)の施設園芸砂地でのラッキョウ栽培が盛ん。入野田野浦などの漁港があり、シラス漁などが行われる。面積188.46平方キロメートル、人口1万0262(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android