日本大百科全書(ニッポニカ) 「黒島(鹿児島県)」の意味・わかりやすい解説
黒島(鹿児島県)
くろしま
鹿児島県枕崎(まくらざき)市の南西洋上約60キロメートルの東シナ海にある島。北緯30度50分、東経129度55分付近。鹿児島郡三島村(みしまむら)に属する。周囲15.2キロメートル、面積15.37平方キロメートルで最高点は櫓岳(やぐらだけ)の622メートル。全島が第三紀の安山岩よりなり、海岸部は30メートル以上の断崖(だんがい)で囲まれ、平地はほとんどない。西端と東端付近に、それぞれ片泊(かたどまり)と大里の小集落がある。島にはみるべき産業はなく、山の斜面での肉牛飼育やサツマイモ、サトイモの零細な栽培、主婦の紬(つむぎ)織や港湾・道路工事の労務賃金で生計をたてる。先史時代の土器や石器が出土する遺跡があり、民俗学的にも興味深い。鹿児島港から竹島、硫黄島(いおうじま)を経由して寄港する村営定期船の便がある。人口190(2009)。
[塚田公彦]