黒岩 重吾(読み)クロイワ ジュウゴ

20世紀日本人名事典 「黒岩 重吾」の解説

黒岩 重吾
クロイワ ジュウゴ

昭和・平成期の小説家



生年
大正13(1924)年2月25日

没年
平成15(2003)年3月7日

出生地
大阪府大阪市此花区安治川通

学歴〔年〕
同志社大学法学部〔昭和22年〕卒

主な受賞名〔年〕
サンデー毎日大衆文芸賞(第54回)〔昭和33年〕「ネオンと三角帽子」,直木賞(第44回 昭35年下期)〔昭和36年〕「背徳のメス」,小説現代ゴールデン読者賞(第9回)〔昭和49年〕「小学生浪人」,吉川英治文学賞(第14回)〔昭和55年〕「天の川の太陽」,紫綬褒章〔平成3年〕,菊池寛賞(第40回)〔平成4年〕

経歴
昭和19年大学在学中に学徒出陣ソ連・満州国境で終戦を迎える。この逃避行と、戦後、急性小児麻痺で3年間療養生活を送ったことが文学の原点となる。職を転々としながら社会の底辺をさまよい、35年司馬遼太郎らの同人誌「近代説話」に参加。同年処女出版の「休日の断崖」が直木賞候補となり、36年釜ケ崎の診療所を舞台とした「背徳のメス」で第44回直木賞受賞。以後、社会派推理小説、風俗小説を次々に発表。また、「裸の背徳者」「人間の宿舎」「カオス星屑」といった自伝的作品で注目を集めた。50年代に入ってから古代史小説で新境地を開き、55年壬申の乱を描いた「天の川の太陽」で吉川英治文学賞受賞。他に「紅蓮女王」(推古天皇)「落日王子」(蘇我入鹿)「日と影の王子」(聖徳太子)「天翔る白日」(大津皇子)など、奈良時代以前の人物を主人公とした古代史小説を数多く発表し、第一人者として知られた。最高で月産500枚のペースで発表し、死の直前まで第一線の流行作家として活躍。一貫して深く人間を見つめ、厳しく温かな目で人間ドラマを紡ぎ、“日本のバルザック”とも呼ばれた。他の著書戦災孤児をテーマとした大河小説「さらば星座」や、「黒岩重吾全集」(全30巻 中央公論社)がある。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

367日誕生日大事典 「黒岩 重吾」の解説

黒岩 重吾 (くろいわ じゅうご)

生年月日:1924年2月25日
昭和時代;平成時代の小説家
2003年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

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