黄蓋(読み)こうがい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「黄蓋」の意味・わかりやすい解説

黄蓋
こうがい

生没年不詳。中国、三国呉(ご)の武将。字(あざな)は公覆(こうふく)。零陵(れいりょう)郡泉陵(せんりょう)県(湖南(こなん)省零陵市)の人。孫堅(そんけん)の挙兵に従い、孫策(そんさく)・孫権(そんけん)の三代に仕えた。風貌(ふうぼう)には威厳があり、配下の兵士にもよく心配りをしたため、兵士たちは先を争って戦ったという。曹操(そうそう)が南下して、孫権が戦いを決意すると、黄蓋は周瑜(しゅうゆ)の配下に入る。曹操の率いる数十万の軍勢に対して、周瑜と程普(ていふ)の指揮する呉の軍隊は、わずかに数万、この劣勢を覆したものが、黄蓋の献策であった。黄蓋は、曹操の水軍の密集ぶりを見て、焼討ちをかけることを進言する。さらに、曹操に投降したいとの偽(にせ)の手紙を送って油断させ、火のついた軍船を突撃させて、赤壁(せきへき)の戦いに勝利を収めたのである。『三国志演義』では、降服の際に、わざと周瑜に逆らって棒で打たれる「苦肉の計」を行ったことが演出される。しかし、肝心の火攻めの献策は、諸葛亮(しょかつりょう)(孔明(こうめい))と周瑜の策とされ、本来は黄蓋の計略であったことが無視されている。

[渡邉義浩]

『渡邉義浩著、三国志学会監修『三国志研究入門』(2007・日外アソシエーツ)』『于涛著、鈴木博訳『実録三国志』(2008・青土社)』『渡邉義浩著『「三国志」武将34選』(PHP文庫)』

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普及版 字通 「黄蓋」の読み・字形・画数・意味

【黄蓋】こうがい

黄屋

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