黄色い部屋の秘密(読み)きいろいへやのひみつ(英語表記)Le Mystère de la Chambre Jaune

日本大百科全書(ニッポニカ) 「黄色い部屋の秘密」の意味・わかりやすい解説

黄色い部屋の秘密
きいろいへやのひみつ
Le Mystère de la Chambre Jaune

フランスの作家G・ルルーの数少ない長編推理小説。1907年刊。密室トリックと人間消失がみごとに成功した古典的推理小説の名作として、よくベストテン入りする作品である。スタンジェルソン教授の住む古城一室「黄色い部屋」からあがった教授の娘の苦悶(くもん)の声に、教授と婚約者、門番、老僕が錠(じょう)のかかった扉を壊して中に飛び込むと、娘マチルドは血の海の中に倒れ、床には老僕のピストルが落ちていた。現場は、犯人出入り不可能な密室である。弱冠18歳の少年記者ルルタビーユが、情熱的に事件解決に乗り出す。名探偵ラルサンも捜査に加わるのだが、密室の謎(なぞ)は心理的トリックを巧みにねらったもので、その意外な犯人が読者をうならせる。

[梶 龍雄]

『宮崎嶺雄訳『黄色い部屋の謎』(創元推理文庫)』『日影丈吉訳『黄色い部屋の秘密』(ハヤカワ文庫)』

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デジタル大辞泉プラス 「黄色い部屋の秘密」の解説

黄色い部屋の秘密

フランスの作家ガストン・ルルーのミステリー(1907)。原題《〈仏〉Le mystère de la chambre jaune》。

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