黄檗料理(読み)オウバクリョウリ

デジタル大辞泉 「黄檗料理」の意味・読み・例文・類語

おうばく‐りょうり〔ワウバクレウリ〕【黄×檗料理】

普茶ふちゃ料理のこと。黄檗山万福寺で作られたのに始まる。

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精選版 日本国語大辞典 「黄檗料理」の意味・読み・例文・類語

おうばく‐りょうり ワウバクレウリ【黄檗料理】

〘名〙 中国式の精進料理である普茶料理異称もと黄檗派の渡来僧によって万福寺に伝えられたところからいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「黄檗料理」の意味・わかりやすい解説

黄檗料理
おうばくりょうり

精進(しょうじん)料理の一種。初めに茶を飲んでから料理に移るので普茶(ふちゃ)料理ともいう。精進料理と黄檗料理の区別は、簡単にいえば、精進料理はめいめい別盛りにするが、黄檗料理は何人分か盛り込み、食卓で取り分ける料理をいう。1654年(承応3)隠元(いんげん)禅師が中国から渡来帰化し、宇治に万福寺(まんぷくじ)を建立し、黄檗宗本山としたが、衆僧の食事としてつくられたのが黄檗料理の始まりである。黄檗料理は長崎の卓袱(しっぽく)料理と結び付いて、広く用いられる料理となった。1802年(享和2)刊の『料理山家集』に、「普茶と卓袱と類したものながら普茶は精進にて油を以(もっ)て佳味とす。卓袱は魚類を以て調味し、仕様も常の会席などと別に変わりたることなし云々。但し、普茶下戸の好むもの、卓袱は酒をすすむる仕様と心得てよし」とある。

 生菜(せいさい)は皿に銘々盛りとし、煮菜(しゃさい)は大椀(わん)または皿に盛って出し、各自で取り分ける。献立は数が多く、初めに前菜が出るが、それを杯附(はいふ)という。笋羹(しゅんかん)は野菜を種々煮合わせたもので、盛り込んだ姿を美しく、見た目もよくしなければならない。そのうえ野菜だけを用いながら、とくにアナゴ、貝類などの姿作りをするのが特色である。麻腐(まふ)は豆腐と白ごまを、すり鉢でよくすり、5~6倍のだし汁、酒少々を加えて練りのばし、ごまの量と同じくらいの葛粉(くずこ)を加え、遠火で2時間余りゆっくり練り、流し箱に流し込み、固める。しょうゆみりんを混ぜ、煮きったもので調味する。雲片(うんぺん)は野菜の葛かけ煮で、とくに野菜の切りくずを利用する。油(ゆじ)は精進揚げで、味つけがしてあるのが特色である。昆布は調味源として重要であるが、料理材料としても用いる。その料理名にも長寿とつけてあるものがある。巻繊(けんちえん)は円筒形に材料を巻いて揚げたものをいう。眉寿(びじゅ)は梅干しの塩味と酸味を抜いて、油揚げにしたものをいう。汁は澄まし汁を用いるが、ときには濁り汁のこともある。漬物は醃菜(えんさい)といい、これにも種々の季節の野菜を用いる。これらに飯果物(はんかもの)(雑炊)などが加わるのが、いわば黄檗料理のフルコースであるが、僧堂料理としてはこのように多くの料理は出さない。洋菜はいまでもほとんど用いていない。

[多田鉄之助]

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「黄檗料理」の解説

おうばくりょうり【黄檗料理】

普茶料理。◇1654(承応3)年に明から渡来し黄檗宗を開いた隠元(いんげん)がもたらしたとされることから。大本山、京都の萬福寺(まんぷくじ)などにこんにちも伝わる。⇒普茶(ふちゃ)料理

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世界大百科事典(旧版)内の黄檗料理の言及

【普茶料理】より

…江戸時代から行われた中国風の精進料理。1654年に来日した隠元禅師を祖とする黄檗(おうばく)宗の寺院から広まったので黄檗料理ともいう。普茶とは茶をたてて一山の大衆に供する茶礼をいい,それに随伴するふるまいだったのでこの名がある。…

※「黄檗料理」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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