黄楊の小櫛(読み)つげのおぐし

精選版 日本国語大辞典 「黄楊の小櫛」の意味・読み・例文・類語

つげ【黄楊】 の 小櫛(おぐし)

万葉(8C後)九・一七七七「君なくは何ぞ身装餝(みよそ)はむ匣(くしげ)なる黄楊之小梳(つげのをぐし)も取らむとも思はず」
若菜集(1897)〈島崎藤村〉おきく「みだれてながき鬢の毛を 黄楊(ツゲ)小櫛(ヲグシ)にかきあげよ」
② (「つげ」を「告げ」の意にとって) 占い一種ツゲの櫛を持って道路に出て、道祖神を一心に念じ、来る人のことばで吉か凶かをきめるもの。辻占。〔談義本・艷道通鑑(1715)〕

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デジタル大辞泉 「黄楊の小櫛」の意味・読み・例文・類語

つげ‐の‐おぐし〔‐をぐし〕【黄楊の小×櫛】

黄楊の木で作った小櫛。つげぐし。
《「つげ」を「告げ」の意にとって》占いの一種。黄楊の櫛を持ち外へ出て、道祖神を念じ、来る人の言葉によって吉凶を占う。

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世界大百科事典(旧版)内の黄楊の小櫛の言及

【櫛】より

…奈良時代には,大陸より横櫛形の挽き櫛がもたらされた。《万葉集》に詠まれた〈黄楊(つげ)の小櫛(おぐし)〉はツゲ製の横櫛のことを指している。また,平城宮址からはイスノキ製の櫛が発見されている。…

※「黄楊の小櫛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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