黄斑(読み)おうはん

精選版 日本国語大辞典 「黄斑」の意味・読み・例文・類語

おう‐はん ワウ‥【黄斑】

〘名〙
① 黄色いまだら模様。また、黄色い斑点
※新編覆醤続集(1676)蓮池金魚「黒質黄斑斉出没、白鱗紅尾乱参差」
② 目の網膜上の黄褐色のくぼみ。形や色の識別に最も鋭敏な部分眼底のほぼ中央にありほとんど円錐細胞からなる。黄点(おうてん)。〔医語類聚(1872)〕

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デジタル大辞泉 「黄斑」の意味・読み・例文・類語

おう‐はん〔ワウ‐〕【黄斑】

網膜後極にある卵円形のくぼみで、黄色色素が沈着している、視覚の最も鋭敏な部分。中心部錐状体だけで、桿状体かんじょうたいはない。黄点。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「黄斑」の意味・わかりやすい解説

黄斑
おうはん

網膜の中心部で、色覚や視力のもっとも鋭敏な部位である。死体眼球をのぞくと、混濁した網膜の中心に黄色の斑点(径約2ミリメートル)が見えるところから名づけられた。黄斑は視神経乳頭の耳側で、視角にして約15度離れたところにあり、黄斑の中央は網膜の厚さがとくに減少してへこんでおり、この部を中心窩(か)という。中心窩には錐状体(すいじょうたい)だけがある。見ようとする外界のものは、この黄斑に像を結ぶようになっている。

 黄斑に病変がおこると、中心視力が冒されるため、読書などに障害が出てくる。このほか、視野の中心部に陰が出る中心暗点、物がゆがんで見える変視症などの症状もみられる。病気としては中心性網膜炎加齢黄斑変性症のほか、遺伝性の黄斑ジストロフィーなどがある。また、網膜中心静脈閉塞(へいそく)症や糖尿病網膜症などが、黄斑に障害を及ぼしてくることもあり、急激に視力が低下する。

[松井瑞夫]

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改訂新版 世界大百科事典 「黄斑」の意味・わかりやすい解説

黄斑 (おうはん)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「黄斑」の意味・わかりやすい解説

黄斑
おうはん
yellow spot

網膜のほぼ中央でやや黄色みを帯びている丸い部分。視覚にあずかることが最も多い。中央のくぼんでいるところを中心窩といい,色の識別能および視覚感度が特に高い。

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普及版 字通 「黄斑」の読み・字形・画数・意味

【黄斑】こうはん

虎。

字通「黄」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の黄斑の言及

【眼底】より

…網膜の神経成分はほぼ透明であるので,網膜色素上皮と脈絡膜が眼底の色を決め,これに網膜血管が加わる。眼底の部位は,黄斑と視神経乳頭を含む後極部,赤道部,周辺部に分けられる。眼底の病気は,出血,滲出物,混濁,変性,増殖組織などと血管自体の変化がおもなものとなっている。…

※「黄斑」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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