じゃ‐こう ‥カウ【麝香】
〘名〙
※大安寺伽藍縁起并流記資財帳‐天平一九年(747)「合麝香壱斉又壱筒」
※
今昔(1120頃か)二七「麝香の香に染返たり」 〔王建‐宮詞一百首・一六〕
※蔭凉軒日録‐永享八年(1436)五月三〇日「毛益麝香絵四幅、海門和尚私被二進上一」
[補注]①は、中国で古くから医薬、
仙薬として用いられ、日本にも早くに伝わった。
ざ‐こう ‥カウ【麝香】
〘名〙 麝香鹿
(じゃこうじか)の
麝香嚢から作った香料。じゃこう。
※宇津保(970‐999頃)内侍督「いろいろの香(かう)は、色をつくして、ざかう・ぢん・丁字」
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麝香
じゃこう
musk
ヒマラヤ山脈,中国北部の高原地帯に生息するジャコウジカ (あるいはジャコウネコ) の雄の生殖腺分泌体。包皮小嚢状の腺嚢を乾燥した暗褐色粒状物に約1~2%程度含有される。高価な動物性香料。アルコール抽出によりムスクチンキとして高価な幻想香水だけに利用される。近年,希少動物保護の立場から香科用目的の捕獲は制限されており,ほとんど同一の香気を有する合成香料で代用される。芳香成分はムスコン C16H30O である。
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麝香【じゃこう】
ムスクとも。ジャコウジカの雄の嚢状の包皮腺分泌物を乾燥した黒褐色の粉末。古来香料,医薬として珍重。雄1頭から約50gが得られる。芳香成分としてムスコンを0.5〜2%含む。ムスコンは化学式C16H3(/0)Oで,大環状ケトン構造をもつ無色の油状液体。現在では麝香類以物質が合成されている。
→関連項目奇応丸|香|香料|ジャコウウシ|生薬|人造麝香|反魂丹|竜涎香|六神丸
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デジタル大辞泉
「麝香」の意味・読み・例文・類語
じゃ‐こう〔‐カウ〕【×麝香】
香料の一。ジャコウジカの分泌物を乾燥したもの。漢方では興奮・強心・鎮痙薬などに用いる。マスク。ムスク。四味臭。
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じゃこう【麝香 musk】
ムスクともいう。中央アジア,チベット,雲南,アッサム,南シベリアに広く生息するジャコウジカの雄の包皮腺(香囊)に蓄積される有香物質。古来代表的動物性香料として珍重された。10歳程度の雄1匹から約50gの麝香が得られる。チベット産の麝香が品質的に最も優れており,トンキン(東京)市場で取引されるため東京麝香として知られている。雲南麝香も有名である。乾燥した香囊中には暗褐色ないし黒褐色の粉末として存在する。
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普及版 字通
「麝香」の読み・字形・画数・意味
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