(読み)ならす

精選版 日本国語大辞典 「鳴」の意味・読み・例文・類語

なら・す【鳴】

〘他サ五(四)〙
① 鳴るようにする。音をたてさせる。響かせる。
万葉(8C後)一一・二三五二「新室を踏み静む子し手玉鳴(ならす)も 玉の如照りたる君を内にと申せ」
② 放屁する。おならを鳴らす。
今昔(1120頃か)二八「僧正御前に蹲(うずくまり)に久く候ける間に、錯(あやまり)て糸高く鳴してけり」
③ 名前などを知れわたらせる。評判をとる。
※虎寛本狂言・武悪(室町末‐近世初)「此世では、はがねをならいた侍が、あの世では、扇子一本に事を欠かせらるるといふは」
④ あまねく知らせる。広く聞こえさせる。
※花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉二四「罪を鳴らして之を斬る」
⑤ とりたてていう。いいたてる。「不平を鳴らす」
江戸繁昌記(1832‐36)初「安ぞ能く細かに其光景を写して、以国家之盛を鳴すに足らん」

な・る【鳴】

〘自ラ五(四)〙
① 音がする。ひびく。声が出る。
古事記(712)上「鳥鳴海神、〈鳴を訓みて那留(ナル)と云ふ〉」
② 名などがあまねく知られる。知れわたる。ひびきわたる。
浮世草子・風俗遊仙窟(1744)二「此道に鳴る人々の口ずさみ」

なり【鳴】

〘名〙 (動詞「なる(鳴)」の連用形名詞化) 鳴ること。音を立てること。また、その音。ひびき。こえ。
※天草本平家(1592)四「クガ カイシャウ ノ テキ ミカタ フナバタヲ タタキ、エビラヲ タタキ、〈略〉シバシワ narimo(ナリモ) シヅマラナンダ」

な・す【鳴】

〘他サ四〙 鳴らす。音を立てる。
書紀(720)継体七年九月・歌謡「本へをば 琴に作り 末へをば 笛に作り 吹き儺須(ナス) 御諸が土に 登り立ち 我が見せば」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「鳴」の意味・読み・例文・類語

めい【鳴】[漢字項目]

[音]メイ(漢) ミョウ(ミャウ)(呉) [訓]なく なる ならす
学習漢字]2年
鳥・獣・虫がなく。「鳴禽めいきん鶏鳴悲鳴鹿鳴ろくめい
物が音を発する。なる。ならす。「鳴動鳴弦共鳴吹鳴雷鳴奏鳴曲
意見を唱える。「百家争鳴
[名のり]なき・なり
難読鳴子なるこ鳴門なると馬鳴めみょう

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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