(読み)と

精選版 日本国語大辞典 「鳥」の意味・読み・例文・類語

と【鳥】

〘語素〙 名詞の上に付いて、とり(鳥)の意を表わす。「とがり(鳥狩)」「とぐら(鳥栖)」「とや(鳥屋)」など。

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デジタル大辞泉 「鳥」の意味・読み・例文・類語

とり【鳥/鶏/×禽】

(鳥)からだ全体が羽毛で覆われ、で空中を飛ぶ恒温動物。鳥類。
(鶏)にわとり
鳥肉。特に、鶏の肉。
[補説]曲名別項。→
[下接語]青い鳥大鳥かごの鳥から雲鳥小鳥しら寝鳥初鶏花鳥比翼の鳥水鳥焼き鳥(どり)一番鶏色鳥浮かれ鳥海鳥親鳥おん飼い鳥風見鶏閑古鳥地鳥旅鳥千鳥夏鳥二番鶏ぬくめ鳥放ち鳥羽抜け鳥ひな冬鳥むくめん百千ももち山鳥呼ぶ子鳥若鳥渡り鳥
[類語](1野鳥水鳥水禽海鳥家禽飼い鳥渡り鳥候鳥夏鳥冬鳥漂鳥留鳥旅鳥迷鳥禁鳥保護鳥益鳥害鳥雄鶏雌鳥小鳥猛禽鳴禽珍鳥始祖鳥/(2にわとり雄鶏雌鳥ひよこ雛鳥若鶏地鶏尾長鶏長尾鶏チャボ軍鶏シャモ東天紅一番鶏ブロイラーコーチン白色レグホン

ちょう【鳥】[漢字項目]

[音]チョウ(テウ)(呉)(漢) [訓]とり
学習漢字]2年
チョウ〉とり。「鳥獣鳥類益鳥花鳥窮鳥禽鳥きんちょう禁鳥候鳥白鳥飛鳥ひちょう放鳥野鳥
〈とり(どり)〉「鳥居鳥肌小鳥水鳥椋鳥むくどり
[難読]飛鳥あすか善知鳥うとう啄木鳥きつつき鳥渡ちょっと玄鳥つばくらめ鳥座とぐら鳥屋とや時鳥ほととぎす霍公鳥ほととぎす

とり【鳥】[曲名]

《原題、〈ドイツ〉Vogelハイドン弦楽四重奏曲第39番ハ長調の通称。1781年作曲。ロシア四重奏曲の第3番。通称は、第1楽章に鳥のさえずりに似た旋律が用いられていることに由来する。

と【鳥】

[語素]名詞の上に付いて、鳥の意を表す。「さか(鶏冠)」「

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改訂新版 世界大百科事典 「鳥」の意味・わかりやすい解説

鳥 (とり)

鳥類一般の総称。〈とり〉の語源は〈飛ぶ〉と関係があるという説がある。人間に身近な存在であって,しかも空を飛ぶことができるという特性をもつものとして,原始時代から現代にいたるまで,世界各地で鳥に対してさまざまな心意が寄せられてきた。以下では,人々が鳥に対してもっていた観念を中心に概観する。なお,鳥類についての動物学的解説については,〈鳥類(ちようるい)〉の項目を参照されたい。

飛ぶ鳥は大気や風の象徴であり,チョウやホタルとともに霊魂の似姿とされる。また天に昇るその姿により神の仲介者あるいは神の化身ともみなされる。とりわけ猛禽類のように強大な翼を持つ鳥は天頂の太陽と関連づけられる。たとえば,ワシはゼウスやガルダの化身となり,またアメリカ・インディアンの社会では雨を降らす雷鳥(かみなりどり)thunderbirdとしてトーテム・ポールの頂部に飾られる。鳥の鳴き声は神や霊の声として畏敬され,フウチョウクジャクなどの美しい羽毛は宗教儀礼に用いられた。したがって世界的に鳥のいない場所は不吉とみなされ,神殿や教会に鳥がすみつけば歓迎された。

 鳥の行動を観察して神意を占うことも世界各地に例を見,とくに重要なのは古代ローマの鳥占いである。これを行う卜占官は通常3人から成る高位の官職で,実施される国事の吉凶を鳥の飛び方や数により占うのを職務とした。エンニウスの《年代記》によれば,ロムルスとレムスのどちらをローマ最初の支配者とするかを決めるのにも,鳥占いが行われたという。その際12羽の聖鳥がロムルスの周囲を旋回し,神意は彼にあると認められた。鳥占いにあたって卜占官は南に向かい,左から鳥が現れれば吉兆としたが,ほかにも種類や数により細かい判断法が定められていた。大プリニウス《博物誌》の鳥に関する記述には,これら卜占官から得た知見が生かされている。中世ヨーロッパでも鳥の吉凶占いは広く実践され,鳥が家へ飛びこんでくれば凶,ホトトギスの初鳴きを路上で聞けば凶,またコノハズクが1度鳴けば死を,2度で計画の成就を,3度で結婚を予告する,などと伝えられる。なお,キリスト教伝説にはカラドリウスCaladriusという霊鳥が語られ,病人がこの鳥を直視できれば生き永らえうるといわれた。この霊鳥は患者の目から病魔を吸い取り,太陽まで飛んで行ってそれを捨て去るという。

 また飛ぶ鳥は,人間にとって飛行の夢を実現するうえの手本であり,イカロスの神話をはじめ鳥人伝説が古来語り継がれた。しかし,大きな翼をはばたかせる形式の飛行術は現実には成功せず,結局飛行の夢が果たされるのはグライダーやプロペラ推進などの考案によってであった。なお,中国の神仙道には〈羽化登仙(うかとうせん)〉の思想があり,仙人は鳥のように飛べると信じられた。J.バルトルシャイティスの《幻想の中世》(1955)によれば,キリスト教における飛びまわる悪魔像は,これら中国の仙人や翼を持つ魔物に影響されて13世紀ころに成立したという。また3世紀末に張華らが編纂した《博物志》に〈奇肱(きこう)〉という飛行車を操る民族が語られており,鳥人幻想から一歩進んだプロペラ飛行機構想の萌芽を示唆して興味深い。

 さらに鳥は生産,豊穣,安産と関連づけられ,春先に鳴きだし,卵を抱く姿が生命活動と生産の開始を示す象徴となった。古代ローマの豊穣祭ルペルカリア祭Lupercalia(2月15日)はとくに鳥がむつむ日として祝われた。これがバレンタイン・デー(2月14日)の起りで,この日に鳥が愛をささやき始めるといわれる。また復活祭にイースター・エッグEaster eggで遊ぶ習慣もここに由来するようである。アメリカ・インディアンの伝承にも,彼らに最初の穀物をもたらすハチドリコンドルの話があり,創世神話や農業起源説話でも重要な役割を果たしていることが認められる。
執筆者:

鳥類は四足獣よりも人間に近いものと考えられていたらしく,人間と類似する行動は人間と同一の感情の発露であるとみなされた。さらに鳥の飛翔から空中を浮遊すると信じられた霊魂との結びつきが連想され,鳥を霊魂そのもの,もしくは霊魂を運ぶ使者とみなす信仰が生じた。そのため,鳥が家屋内に飛び込んでくるのを,一般には家内に死者の出る凶兆と考えた。現在でも土地によって,死者の霊魂を小鳥に仮託し,親しい者の元にいとまごいに訪れたと解している。このように霊界との関係が深いので,鳥は現世と常世国(とこよのくに)を往来するものと考えられた。その中でも,特定の季節に突如として出現する渡り鳥の群れは,渡りの意味の明らかでなかった時代には,とくに神秘的な印象を人々に与えたらしい。常世国を故郷とする鳥は,また神の使わしめでもあった。その場合,熊野のカラス,八幡のハト,愛宕(あたご)のトビのように,特定の神と鳥との結びつきが見られるが,とくに白い鳥は神寵を受けたものとして神聖視された。このような鳥を霊物視する自然観を基盤として,鳥の鳴き声,色彩,習性などの由来を説く〈小鳥前生譚〉の昔話が,日本には数多く伝承されてきた。人間であったときの苦悩や怨恨,後悔の思いを,死後鳥となってみずから語り続け,また生前の所業の報いを鳥となって現に受けているとするこの昔話は,次の三つの点で注意される。一つは鳥の鳴き声に重大な関心があるということ,二つには主人公の鳥がホトトギス,カッコウなどの特定の種類に集中しているということ,三つにはそれらの鳥の出現時期が春から夏に偏っているということである。これは,特定種の鳥の鳴き声によって田植を始めたり,山芋を掘ったりした農業生活を反映したものと推測される。自然暦の一指標として鳥は古くからよく利用されてきたが,上層階級が季語,季題に示される花鳥諷詠の文学や,パターン化された月次絵(つきなみえ)などに利用するのとは異なり,農民の場合には実生活上の必要性があった。農民生活と鳥との関係は深く,害虫を捕食するツバメなどの益鳥は,これを捕ると火事になる,盲目になるなどといって積極的に保護が加えられた。一方,スズメやガン・カモ類は田畑を荒らす害鳥としての側面が大きかったので,小正月の〈鳥追〉では憎み嫌われる鳥の代表例となっている。鳥は食用としての利用価値も大きい。鳥といえば普通はキジの肉を指し,狩猟の対象とされてきた。仏教は殺生戒の立場から肉食を禁じたが,ガン・カモ類をはじめとする野鳥を食べることはやまなかった。しかし,神事に関係する鳥や家禽に対しては特別な感情が働き,これを食べることは忌避されてきた。たとえば,鶏肉,鶏卵を食するのを禁じてきた地方は,最近まで各所に見られた。日本人がどのような場合に肉食を忌避したかは,他の動物の場合とあわせて考察する必要がある。
鳥料理
執筆者:

鳥 (とり)
Ornithes

前414年に上演されたアリストファネス作の喜劇。アテナイ人の主人公が,鳥たちをそそのかして雲の中に鳥の国を創らせ,神々に向かって昇ってゆく犠牲の煙を途中で差し押さえさせて,ついに兵糧攻めに参った神々が鳥たちに休戦条約を申し出るという筋立て。この喜劇の背景には,ペロポネソス戦争と戦争のもたらす悲惨に苦しむ市民たちの姿があり,この作品はかかる現実と対峙する喜劇的想像力が生んだファンタジーである。人間社会の風俗・習慣に対する作者の皮肉の痛烈さで知られる。
執筆者:

鳥 (とり)

雅楽の管絃の曲名。双調に破と急,黄鐘(おうしき)調に急がある。いずれも壱越(いちこつ)調からの渡物(わたしもの)で,原曲は《迦陵頻(かりようびん)》。双調の〈破〉は延八拍子,拍子20の中曲,〈急〉は早八拍子,拍子8の小曲,黄鐘調の〈急〉も早八拍子,拍子8の小曲。
迦陵頻
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鳥」の意味・わかりやすい解説


とり

鳥類のことで、とくにニワトリ、キジをさす場合もある。日本文学においては、花鳥とか花鳥風月とかいわれるように、日本の自然美を形成する景物の一つであり、「花鳥の色をも音(ね)をもいたづらにもの憂(う)かる身は過ぐすのみなり」(『後撰(ごせん)集』夏・藤原雅正(まさただ))などと詠まれている。文学作品にも早くから登場し、『万葉集』には、鵜(う)、鶯(うぐひす)、鶉(うづら)、鴨(かも)、鴎(かまめ)、烏(からす)、雁(かり)、雉(きぎし)、鷺(さぎ)、鴫(しぎ)、鷹(たか)、千鳥(ちどり)、燕(つばめ)、鶴(たづ)、鶏(いへつとり、かけ、にはつとり)、鳰(にほどり)、雲雀(ひばり)、時鳥(ほととぎす)、都鳥(みやこどり)、百舌鳥(もず)、山鳥(やまどり)、呼子鳥(よぶこどり)、鷲(わし)、鴛鴦(をしどり)などの名がみえ、ほかにも水鳥が多い。『古今集』になると、種類も淘汰(とうた)され、鶯、鶉、鴨、雁、雉(きじ)、鴫、鶴、千鳥、鳰、時鳥、都鳥、鶏(ゆふつけどり)、鴛鴦と古今伝授(こきんでんじゅ)の「三鳥」の稲負鳥(いなおほせどり)、百ち鳥(ももちどり)、呼子鳥に尽くされる。山野にもいるが、水辺にいるという印象が強く、「芦鴨(あしがも)」「芦鶴(あしたづ)」「浜千鳥」などという形でよく用いられる。鶯、時鳥、雁がとりわけ多くみられ、『源氏物語』でもいずれも10例以上用いられ、季題としても継承されていく。『枕草子(まくらのそうし)』の「鳥は」の段では、鸚鵡(おうむ)、山鳥、鶴、鷺、鴛鴦、千鳥、鶯、時鳥などについて具体的に述べており、雁がないのが目だつが、巻頭で「まいて、雁などのつらねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし」といっているから、無視しているわけではない。平安中期ごろから、鳴き声が戸をたたく音に似ているといわれる水鶏(くひな)も加わる。卵は「かひ」「こ」「かひこ」などとよばれ、かえらないものを「すもり」「すもりご」などといい、和歌や物語、日記などに、しばしばみられる。また、神の使いにもなり、八幡宮(はちまんぐう)の鳩(はと)、熊野神社の烏などはよく知られる。

[小町谷照彦]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鳥」の意味・わかりやすい解説


とり
Ornithes

ギリシアのアリストファネスの喜劇。前 414年の大ディオニュシア祭で上演。2人のアテネ人ピステタイロスとエウエルピデスが現世に愛想をつかして鳥の世界を訪れ,すべての鳥を集め,空中に城壁を築いて鳥の王国を建設し,犠牲の煙が天に上るのを妨げたり地中の種を食い尽すことによって,神々と人間の双方を困らせる。鳥王国の人気は上昇し,すべての人間が鳥になることを願望する。ついにピステタイロスはゼウスの娘バシレイアを妻に迎えて,天上天下を支配することになる。作者はここで,アテネの政治問題から離れて,空想の世界に遊んでいる。


とり

鳥類」のページをご覧ください。

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デジタル大辞泉プラス 「鳥」の解説

鳥〔小説〕

①英国の作家ダフネ・デュ・モーリアの短編小説。原題《The Birds》。
②①を原作とした1963年製作のアメリカ映画。原題《The Birds》。監督:アルフレッド・ヒッチコック、出演:ティッピー・ヘドレン、ロッド・テーラー、ジェシカ・タンディほか。生物パニック映画の草分け的作品。

鳥〔曲名:ハイドン〕

オーストリアの作曲家ヨーゼフ・ハイドンの弦楽四重奏曲第39番(1781)。原題《Vogel》。ロシア四重奏曲の第3番。名称は鳥のさえずりに似たモチーフが用いられていることに由来する。

鳥〔曲名:レスピーギ〕

イタリアの作曲家オットリーノ・レスピーギの管弦楽用組曲(1927)。原題《Gli uccelli》。

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百科事典マイペディア 「鳥」の意味・わかりやすい解説

鳥【とり】

鳥類

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【鳥類】より

…脊椎動物門鳥綱Avesに属する動物の総称。飛翔(ひしよう)生活にもっとも適応した脊椎動物で,基本的な体制は爬虫類と共通な点が多いが,両者は一見して区別することができる。…

※「鳥」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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