魚玄機(読み)ぎょげんき

精選版 日本国語大辞典 「魚玄機」の意味・読み・例文・類語

ぎょ‐げんき【魚玄機】

中国、唐代の女流詩人。字(あざな)は恵蘭、幼微。長安の人。娼家に生まれ、補闕李億の妾となる。のち咸宜観にはいり、女道士となったが、侍女を殺して刑死した。詩文にすぐれていた。著「唐女郎魚玄機詩」。(八四四頃‐八七一頃

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デジタル大辞泉 「魚玄機」の意味・読み・例文・類語

ぎょ‐げんき【魚玄機】

[844ころ~871ころ]中国、唐代末の女流詩人。長安の人。あざな蕙蘭けいらん・幼微。詩文の才能で有名になり、女道士となったが、召使いの女を殺して死刑になった。森鴎外小説「魚玄機」の主人公

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「魚玄機」の意味・わかりやすい解説

魚玄機
ぎょげんき
(844?―871?)

中国、晩唐の女流詩人。字(あざな)は恵蘭(けいらん)また幼微(ようび)。長安(陝西(せんせいシャンシー)省西安(せいあんシーアン)市)の娼家(しょうか)に生まれたが、読書好きで詩才に恵まれ、長安の風流人士に名を知られ、彼らと詩を応酬した。ことに詩人温庭筠(おんていいん)との交際が有名である。若くして補闕(ほけつ)の李億(りおく)(字は子安)の妾(しょう)となり、幸福な生活を送ったが、夫人嫉妬(しっと)され、咸宜観(かんぎかん)に入って女道士となった。のち侍女を殺した科(とが)で死刑に処せられ、短い生涯を閉じた。現存46首には「賦(ふ)し得たり江辺の柳」など、人口に膾炙(かいしゃ)した作品があり、詩が社会的に広まっていた現象を物語る。森鴎外(おうがい)に小説『魚玄機』がある。『唐女郎魚玄機詩』1巻が残る。

[伊藤正文]

『辛島驍著『漢詩大系15 魚玄機・薛濤』(1964・集英社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「魚玄機」の意味・わかりやすい解説

魚玄機 (ぎょげんき)
Yú Xuán jī
生没年:844ころ-871ころ

中国,晩唐の女流詩人。長安(陝西省西安市)の人。字は幼微。森鷗外の小説《魚玄機》でつとに知られているが,長安の遊里に生まれ,補闕李億の妾に迎えられたものの,正妻の嫉妬に苦しみ咸宜観の女冠(女道士)になった。のち李郢(りえい),温庭筠(おんていいん)ら代表的詩人らと交わり,《唐女郎魚玄機詩》1巻を今に伝える。詩才をうたわれながら,侍婢を鞭で打殺した罪に問われ,死刑に処せられている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「魚玄機」の意味・わかりやすい解説

魚玄機
ぎょげんき
Yu Xuan-ji

[生]会昌3(843)/会昌4(844)
[没]咸通12(871)?
中国,晩唐の女流詩人。字,幼微,蕙蘭。平康坊の娼家に生れ,容色にすぐれ,補闕 (ほけつ) の李億の妾となったが本妻にねたまれて別れ,長安 (西安) の咸宜観 (かんぎかん) に入って女道士となった。若い頃から詩文を好み才能をうたわれ,道士となってからは温庭 筠 (おんていいん) ,李郢 (りえい) ら当時の名士と盛んに交際,詩を贈答している。晩唐らしく字句に凝った艶詩が多い。のち痴情にからんで自分の侍婢緑翹 (りょくぎょう) を殺したため,死刑となった。詩集『唐女郎魚玄機詩』 (1巻) がある。

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百科事典マイペディア 「魚玄機」の意味・わかりやすい解説

魚玄機【ぎょげんき】

中国,晩唐の女性詩人。字は幼微。長安の遊女で,読書を好み,詩作に長じた。李億の妾(しょう)となり,嫉妬の苦しみから道教の寺威宜観に入って道士になったが,愛人と侍女緑翹の仲を疑い鞭打って殺し,死刑に処せられたという。森鴎外の小説《魚玄機》で知られる。

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