魚卵の功罪。ナトリウムが多いようだけど…(読み)ぎょらんのこうざいなとりうむがおおいようだけど

食の医学館 の解説

ぎょらんのこうざいなとりうむがおおいようだけど【魚卵の功罪。ナトリウムが多いようだけど…】

魚卵といえば、どんなものを思いだしますか? いくら、すじこ、たらこ、かずのこ、からすみ、キャビアなどが代表的なものです。これらは“魚卵塩蔵品”といい、保存食として発達してきました。塩蔵するため、ナトリウムNa)が多いのが特徴です。
 ナトリウムは神経の刺激伝達や細胞外液の浸透圧の維持に働きます。しかし摂取しすぎると、尿からの排泄量が多くなったり、血圧が上がったりします。つまり過剰摂取は高血圧や動脈硬化などをまねく要因になりかねません。コレステロールも多いので、少しずつ食べることをおすすめします。
◇いくら/Na=910mg、サケやマスの成熟がすすんだ卵巣をバラバラにして塩蔵したもの。卵膜のやわらかさが品質の決め手で、成熟がすすみすぎているとたまごはかたく、歯ごたえが楽しめません。賞味期間は短く、中の成分が糸を引くようになったら警戒。カルシウム、IPA、DHA、ビタミンDを含有。
◇すじこ/Na=1900mg、いくらと同様に、サケやマスのたまごを塩蔵したものですが、未成熟な卵のう(たまごの袋)のまま利用したものです。おもにシロサケ、ベニザケギンザケカラフトマスなどが用いられます。最近は、カナダやアメリカで製造されたものが市場に多く出回っています。いくらよりカルシウムは少なめですが、ビタミンD、E、IPAを含有。
◇たらこ/Na=1800mg、別名助子(すけこ)」と呼ばれ、スケトウダラのたまごです。塩蔵した場合も、たらこ、紅葉子、明太子などの名前で呼ばれます。未熟なたまごからつくられたものはガムのような食感、過熟なたまごでは水っぽい食感になり、品質がよくないことを表します。カルシウムやビタミンEを含有。
◇かずのこ/Na=480mg(塩蔵もの)、ニシンの卵巣の加工品です。塩かずのこ、干しかずのこ、生かずのこがありますが、現在は塩が主流。昔は、春に北海道の日本海側の沿岸が、ニシンの白子で真っ白になったといいます。今はカナダやオランダなどから冷凍や塩蔵したニシンのたまごが輸入されています。アイヌ語でニシンをカドと呼び「カドの子」から「かずのこ」になったようです。塩かずのこはビタミン、ミネラルは少ないですが、カロリーの低さは魅力です。
◇からすみ/Na=1400mg、ボラの卵巣を塩漬けにして陰干しし、乾燥させたものです。形が唐(中国)の墨に似ていることから「からすみ」と称され、豊臣秀吉に献上したのがはじまりといわれています。江戸時代には、越前のウニ、三河のコノワタ、肥後のからすみが三大珍味として珍重されました。長崎の名産ですが、たいへん高価なので、最近はアブラツノザメやタラ、サワラのたまごを入れて薫製したイミテーション(代用品)もでています。ビタミンDを含有。
◇キャビア/Na=1600mg、チョウザメのたまごを塩蔵したもの。たまごをほぐして塩漬けにし、容器に詰めて熟成させます。黒灰色がハッキリしているものが良品。カスピ海でとれるロシア産が有名です。キャビアがあまりに高価なため、デンマーク産でランプフィッシュのたまごを塩蔵し着色したイミテーションもあります。これは「デンマークキャビア」の名で売られています。たんぱく質が比較的多く含まれます。

出典 小学館食の医学館について 情報

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