鬱陶(読み)うっとうしい

精選版 日本国語大辞典 「鬱陶」の意味・読み・例文・類語

うっとう‐し・い ウッタウ‥【鬱陶】

〘形口〙 うったうし 〘形シク〙
気分雰囲気がはればれしない。また、天候が悪くて重くるしい感じである。雨が降ったり、湿気が多かったりして身体気持がすっきりしない。うっとしい。
※両足院本山谷抄(1500頃)一「酒は胸にうったうしい物の有を、をしうしなわう為ぞ」
※平凡(1907)〈二葉亭四迷〉五二「鬱陶敷(ウッタウシク)て、気が滅入(めい)って」
② じゃまなものがあるようでわずらわしい。うるさい感じである。うっとしい。
※玉塵抄(1563)一五「愚公と云者山にうちむいて不断いて山がつかゑてうったうしいと云てきらいにくんだ」
※歌舞伎・三人吉三廓初買(1860)大切「ええうったうしい、又来たか」
うっとうし‐が・る
〘他ラ五(四)〙
うっとうし‐げ
〘形動〙
うっとうし‐さ
〘名〙

うっ‐とう ‥タウ【鬱陶】

〘名〙 (形動タリ)
① (━する) 気がふさいではればれしないこと。また、そのさま。
※本朝文粋(1060頃)七・贈美濃守源頼光状〈大江匡衡〉「去廿一日法礼、昨日酉時到来、詳奉委趣、已散欝陶
太平記(14C後)三二「我(われ)舜を已(すで)に殺しつと思て欝陶(ウッタウ)しつ」 〔書経‐五子之歌〕
② 憂え、憤ること。立腹や不満の気持。
吾妻鏡‐養和元年(1181)三月一四日「就一方欝陶、難罪科之由」
平家(13C前)四「或は神慮にあひはばかり、或は綸言と称するによって、鬱陶をおさへ光陰を送るあひだ」
③ 天気の蒸し暑いさま。〔夏侯湛‐大暑賦〕

うっとし・い【鬱陶】

〘形口〙 うっとし 〘形シク〙
捷解新語(1676)一「しょしんなものぢゃほどに、おのおのうっとしうおもわしられうか、きつかいまるするほどに」
※俳諧・新類題発句集(1793)夏「鬱としき京も忘れし青田かな〈谷水〉」
仮名草子智恵鑑(1660)二「南の方には隰斯彌(しうしみ)が家の樹木共おほひかさなりてうっとし」

うっとし【鬱陶】

〘形シク〙 ⇒うっとしい(鬱陶)

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デジタル大辞泉 「鬱陶」の意味・読み・例文・類語

うっ‐とう〔‐タウ〕【鬱陶】

心がふさいで晴れないこと。
いささか君の―を慰め、且つ共に心よく談笑しようと思って」〈露伴露団々
精神―たるの時に当ては」〈織田訳・花柳春話

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「鬱陶」の読み・字形・画数・意味

【鬱陶】うつとう(たう)・うつよう(えう)

心が結ぼれる。〔孟子、万章上〕象曰く、鬱陶として君を思ふのみと。忸怩(ぢくぢ)たり。

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