高雄(中国)(読み)たかお

日本大百科全書(ニッポニカ) 「高雄(中国)」の意味・わかりやすい解説

高雄(中国)
たかお / カオシュン

台湾南部の港湾・工業都市。台北に次ぐ台湾第二の都市で、中央政府直轄市。台南の南40キロメートルに位置する。人口149万0560(2000)。港は細長い潟湖(せきこ)の入口にあり、水深6~11メートル、大型船舶の接岸が可能で、台湾最大の輸出港および遠洋漁業基地となっている。市西部の海岸沿いにそびえ立つ万寿山(356メートル)は天然の屏風(びょうぶ)で、北方隆起サンゴ礁からなる亀(き)山と半屏(はんぺい)山(240メートル)がある。旧称打狗(ターカオ)または打鼓(タークー)。台南と並びもっとも早くから開発された地域で、17世紀のオランダ領時代にはジャワ・バタビア貿易の根拠地とされ、その後大陸各地との貿易で繁栄し、1860年国際貿易港として開港されたあといっそう発展した。日本統治時代の1920年に高雄と改称し、24年市制を敷いた。第二次世界大戦中、日本は総督府の南遷をもくろんでここに近代都市の建設を計画し、石油、アルミ精錬、機械など数多くの軍需工業を建設した。戦後は1960年代以降、工業化がいっそう進み、石油化学、鉄鋼造船セメント、機械、化学、電気器具、アルミ精錬、電力などの重化学工業が振興した。65年、港湾に隣接した埋立地に高雄輸出加工区が建設され、外資導入による紡績、縫製、電子機器、金属などの輸出加工業が急速に発展し、台湾南部最大の工業地帯に成長した。工業化と都市化に伴い、道路整備と都市建設も進み、高層ビルが林立する近代的な国際都市に変貌(へんぼう)している。一方、大気汚染がひどく、スモッグで空が早朝からかすみ、深刻な都市公害を抱えている。南部交通の要衝で、台湾縦貫鉄道の終点、南に延びる屏東(へいとう)線、枋寮(ほうりょう)線の起点であり、南北高速道路が通過し、高雄空港に国際線が開通している。高雄港両側の前鎮(ぜんちん)と旗津(きしん)の間に長さ1550メートルの海底トンネルが通じる。市内には万寿山公園、三鳳宮(さんほうきゅう)があり、近郊では金獅(きんし)湖、蓮花潭(れんかたん)の春秋閣、澄清(ちょうせい)湖などの観光地が有名。

[劉 進 慶]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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