高足(読み)たかあし

精選版 日本国語大辞典 「高足」の意味・読み・例文・類語

たか‐あし【高足】

〘名〙
① 足を高く上げて歩くこと。
② 足の丈が長いこと。あしだか。
卓子式(1784)「高脚(タカアシ)の卓子、卓西四尺四方高三尺」
田楽で用いる道具十字架のような形の棒の横木両足をのせて飛びはねるもの。また、その技。こうそく。
洛陽田楽記(1096)「洛陽大有田楽之事。〈略〉高足一足、腰鼓」
咄本醒睡笑(1628)一「たか足を踏みそこなへる面目を灰にまぶせる冬の田楽」
たけうま。たかし。
⑤ 高足駄のこと。
※金刀比羅本保元(1220頃か)中「花山法皇紅のはかまをつきのべさせ奉、高足にめされ」
⑥ 膳などの脚の高いもの。こうそく。
※飢渇(1915)〈長田秀雄一幕「お膳はどれにしませう。━高脚の方にしませうか」
歌舞伎大道具の一つ。二重舞台うちで最も高いもので、二尺八寸(約八四センチメートル)の高さに造る。御殿寺院建物や、高い土手などに用いる。
※歌舞伎・矢の根(1729)「本舞台三間、高足(タカアシ)の弐重」
※俳諧・伊勢山田俳諧集(1650)長抜書「あぶなきはきれさうなりし網の綱 いきおひつよき鞠の高あし」

こう‐そく カウ‥【高足】

〘名〙
蹴鞠(けまり)で、足を高くあげて鞠(まり)を蹴ること。
仮名草子竹斎(1621‐23)上「又或人を見てあれば、鞠はかうそくよきぞとて、思ふさまに蹴上ぐれば」
② 舞で、高く足を上げること。
※叢書本謡曲・巻絹(1537頃)「高足、下足の舞の手を尽くし」
渋江抽斎(1916)〈森鴎外七三「高足(カウソク)の一人小此木辰太郎は」

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デジタル大辞泉 「高足」の意味・読み・例文・類語

たか‐あし【高足】

足を高く上げて歩くこと。
足が長いこと。あしだか。
竹馬のこと。
ぜんなどの足の高いもの。
田楽で、十字形の棒の横木に両足をのせて跳び歩く芸。また、その道具。こうそく。
歌舞伎の大道具の一つで、二重舞台のうち最も高いもの。2尺8寸(約85センチ)の高さで、御殿・寺院の建物や高い土手などに用いる。

こう‐そく〔カウ‐〕【高足】

門人や弟子の中で、特に優秀な者。高弟。「高足の弟子」
蹴鞠けまりで、足を高く上げて鞠をける動作。
「鞠は―よきぞとて、思ふさまに蹴上ぐれば」〈仮・竹斎・上〉
たかあし(高足)4」に同じ。
たかあし(高足)5」に同じ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「高足」の読み・字形・画数・意味

【高足】こう(かう)そく

駿馬。また、高弟。〔世説新語、文学〕玄、馬融の門下に在りて三年、相ひ見(まみ)ゆることを得ず。高足の弟子、傳授するのみ。

字通「高」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の高足の言及

【大道具】より

… 歌舞伎の大道具は,基本的には〈二重(にじゆう)〉と〈張物(はりもの)〉の二つで構成される。二重とは舞台の床と平行で一段高い,家屋,土手,山などの土台を作る台のことで,高さによって常足(つねあし),中足(ちゆうあし),高足(たかあし)などの種類がある。張物とは,家屋の壁や背景などのために舞台に立てる板状のもののことで,ふつう縦2間(約3.6m)横6尺(約1.8m)の大きさで,1寸(約3cm)角の木材で枠を作り,桟をつけ紙を張って作る。…

【歌舞伎】より

…定式(じようしき)の大道具の基本は〈二重〉と〈張物〉から成り立っている。〈二重〉は高さに4段階があり,〈高足(たかあし)〉〈中足(ちゆうあし)〉〈常足(つねあし)〉〈尺高(しやくだか)〉と呼ぶ。その上に屋体(やたい)を組むほか,土手なども作る。…

【竹馬】より

…この竹馬は江戸時代には馬の頭を模した飾りをつけた春駒にうけつがれていく。一方,室町時代の《福富草子》のさし絵には木製の2本足の竹馬が描かれ,大正時代に至るまで竹馬のことを高足(たかあし),鷺足(さぎあし)といったことからも,これは田楽(でんがく)の高足の変化したものと推測される。ただし,1本の棒につけた横木に両足をのせて演じる田楽の芸もあり,確実なことはわかっていない。…

※「高足」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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