高泉性潡(読み)こうせんしょうとん

精選版 日本国語大辞典 「高泉性潡」の意味・読み・例文・類語

こうせん‐しょうとん カウセンシャウトン【高泉性潡】

江戸前期の黄檗(おうばく)宗の帰化僧。林氏。号、雲外曇華道人と称する。中国福建の人。慧門の法を受け、来朝して山城仏国寺創建。のち黄檗山万福寺第五世を継ぎ、黄檗山中興の祖とされる。著に「扶桑禅林僧宝伝」「洗雲集」など。寛永一〇~元祿八年(一六三三‐九五

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「高泉性潡」の意味・わかりやすい解説

高泉性潡
こうせんしょうとん
(1633―1695)

江戸前期に活躍した黄檗(おうばく)宗の渡来僧。号は雲外。字(あざな)は良偉(りょうい)。曇華(どんげ)道人とも。大円広慧(だいえんこうえ)国師、仏智常照(ぶっちじょうしょう)国師と諡(おくりな)された。中国福州(福建(ふっけん)省)福清県に生まれる。姓は林氏。13歳で出家し、福清の南西にある黄檗山に入り、慧門如沛(えもんにょふつ)(1615―1664)の法を嗣(つ)ぐ。1661年(寛文1)に隠元(いんげん)に招かれて日本に渡来し、山城(やましろ)(京都府)宇治の黄檗山万福寺に入った。彼は、『元亨釈書(げんこうしゃくしょ)』(1332)以来、300余年にわたり日本に高僧伝編纂(へんさん)されていないことを遺憾として、1675年(延宝3)6月に『扶桑禅林僧宝伝(ふそうぜんりんそうほうでん)』10巻、1686年(貞享3)正月に『続扶桑禅林僧宝伝』3巻、翌1687年5月に『東国高僧伝』10巻を撰述(せんじゅつ)した。1692年(元禄5)黄檗山万福寺の5世となり、1695年には将軍徳川綱吉に禅の宗旨を説いている。元禄(げんろく)8年10月16日没。黄檗山中興の祖とされる。

[廣瀬良弘 2017年2月16日]

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改訂新版 世界大百科事典 「高泉性潡」の意味・わかりやすい解説

高泉性潡 (こうせんしょうとん)
生没年:1633-95(寛永10-元禄8)

江戸前期の黄檗(おうばく)宗の禅僧。号は雲外,字は良偉,あるいは高泉・曇華道人とも称し,俗姓は林氏。中国福州(福建省)福清県の出身。福州黄檗山で隠元隆琦の法を嗣ぐ慧門如沛(によはい)の弟子となったが,1661年(寛文1)29歳のとき隠元に招かれて,京都の宇治黄檗(おうばく)山に入り,92年(元禄5)に万福寺第5世住持となった。後水尾上皇に十牛頌を奉り,将軍徳川綱吉に禅要を説き,加賀の松雲公前田綱紀の帰依を得るなど,宮廷や将軍をはじめ諸大名と積極的に交流し,黄檗宗興隆に尽力して中興の祖とも称される。一方仏教史研究を行い《扶桑禅林僧宝伝》《東国高僧伝》《東渡諸祖伝》を著述し,また《洗雲集》《仏国高泉禅師語録》などの著を残している。
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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「高泉性潡」の解説

高泉性潡 こうせん-しょうとん

1633-1695 明(みん)(中国)の僧。
崇禎6年10月8日生まれ。黄檗(おうばく)山の慧門如沛(にょはい)の法をつぐ。寛文元年(1661)隠元隆琦(りゅうき)にまねかれ来日。山城(京都府)仏国寺などをひらき,のち山城宇治の万福寺住持。黄檗宗中興の祖とされる。元禄(げんろく)8年10月16日死去。63歳。福建省出身。法名ははじめ良偉。性敦ともかく。別号に雲外,曇華(どんげ)道人。諡号(しごう)は大円広慧国師,仏智常照国師。著作に「扶桑(ふそう)禅林僧宝伝」「東国高僧伝」など。

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367日誕生日大事典 「高泉性潡」の解説

高泉性潡 (こうせんしょうとん)

生年月日:1633年10月8日
江戸時代前期の渡来僧
1695年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の高泉性潡の言及

【万福寺】より

…64年隠元についで第2世となった木庵性瑫(もくあんしようとう)が諸堂宇建立に力を尽くし,大雄宝殿(本堂),天王殿が68年に建立されている。第5世高泉性潡(こうせんしようとん)の時代に伽藍が完備され,チーク材による中国風の建築様式をもつ特色のある禅寺となると同時に,儀礼作法や言動,長髪長爪の様相に至るまでのすべてが中国の風習によった。第13世竺庵浄印までの歴代住持は中国からの渡来僧により継承され,その特色をよく保持した。…

※「高泉性潡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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