高島炭鉱事件(読み)たかしまたんこうじけん

百科事典マイペディア 「高島炭鉱事件」の意味・わかりやすい解説

高島炭鉱事件【たかしまたんこうじけん】

明治初期,長崎高島炭鉱坑夫虐待事件。三菱経営下の苛酷な労働条件納屋制度に反対して,1878年には賃上げ要求の坑夫が暴動化,100余人が逮捕された。さらに,体験者が1888年雑誌日本人》にその実態を発表し,三宅雪嶺が〈三千の奴隷いかにすべきか〉との批判をのせて訴えた。政府清浦奎吾警保局長を派遣したが,打開策もなく終わった。
→関連項目高島炭鉱

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「高島炭鉱事件」の解説

高島炭鉱事件
たかしまたんこうじけん

納屋(なや)制度のもとで1888年(明治21)に明るみにでた鉱夫虐待事件。高島炭鉱は1881年から三菱の経営で鉱夫管理は納屋制度であった。鉱夫虐待の状況は87年末~88年の新聞・雑誌記事によって広く知られ,とくに雑誌「日本人」(88年6月)掲載の松岡好一の潜入ルポが反響をよんだ。世論の高まりをうけて,88年8月清浦奎吾(けいご)警保局長が現地視察,納屋制度の改良を勧告した。三菱は納屋制度の改革に着手し,97年争議発生を機に納屋制度を廃止した。

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旺文社日本史事典 三訂版 「高島炭鉱事件」の解説

高島炭鉱事件
たかしまたんこうじけん

明治中期,長崎県高島炭鉱でおこった社会問題
長崎港外にある高島炭鉱では,酷使にたえかねて坑夫がしばしば騒動をおこした。1888年その惨状が雑誌『日本人』に掲載され世論が沸騰し,政府は役人を派遣して労働条件改善を命令した。

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世界大百科事典(旧版)内の高島炭鉱事件の言及

【高島炭田】より

…共同企業時代に,70年3月,同年6月,72年11月,73年2月と4回の鉱夫騒擾(そうじよう)が発生していたが,78年には賃金引下げに反対する争議が暴動化する事件がおこった。鉱夫の管理は後藤時代からいわゆる納屋制度でなされてきたが,88年にその実態が雑誌《日本人》に掲載されたのを発端に,鉱夫虐待が高島炭鉱事件として社会問題化した。政府は清浦奎吾警保局長を高島に派遣,調査し,鉱夫の待遇改善を勧告した。…

※「高島炭鉱事件」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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