高島(市)(読み)たかしま

日本大百科全書(ニッポニカ) 「高島(市)」の意味・わかりやすい解説

高島(市)
たかしま

滋賀県北西部にある市。2005年(平成17)高島郡マキノ今津(いまづ)、安曇川(あどがわ)、高島新旭(しんあさひ)の5町と同郡朽木村(くつきむら)が合併して市制施行、旧郡名をとり、高島市となった(高島郡は消滅)。

 北部は野坂山地を境に福井県、南西部は比良(ひら)山地を境に京都府と接し、東部は琵琶湖(びわこ)に面している。市域を北側から知内川、百瀬(ももせ)川、石田川、安曇川、鴨(かも)川などが貫流する。日本海に近く、冬季の積雪量は多い。古来、京都と北陸地方を結ぶ交通の要衝として栄え、海津、今津などは琵琶湖水運の拠点でもあった。現在はJR湖西線(こせいせん)、国道161号、303号、367号が通じている。農業は稲作が中心で、野菜栽培、乳用牛の飼育なども行われている。高島クレープなどの繊維工業が発達し、扇骨などの伝統産業も盛んである。古代より開けた地域で、新旭町の針江遺跡群(弥生時代)や鴨の稲荷山(いなりやま)古墳などが残されている。また、海人(あま)の安曇(あづみ)族など古くから渡来人の定着した地ともいわれる。近世では勝野大溝(おおみぞ)藩分部(わけべ)氏2万石の陣屋、朽木市場(いちば)に旗本朽木氏の陣屋が置かれていた。日本の陽明学の祖といわれた中江藤樹(なかえとうじゅ)を輩出、藤樹書院跡は国指定史跡。また、探検家の近藤重蔵(じゅうぞう)(守重(もりしげ))の墓所もある。長寿の神白鬚神社(しらひげじんじゃ)の本殿は国指定重要文化財、旧秀隣寺庭園は国指定名勝。海津大崎琵琶湖国定公園に含まれ、サクラの名所としても知られる。そのほか、総合果樹園「マキノピックランド」、ガリバー青少年旅行村、オランダ風車や花菖蒲(しょうぶ)園のあるしんあさひ風車村、朽木の自然を体験できる「グリーンパーク想い出の森」などの施設がある。面積693.05平方キロメートル、人口4万6377(2020)。

[編集部]

『『高島町史』(1983・高島町)』


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