高学歴失業(読み)こうがくれきしつぎょう

大学事典 「高学歴失業」の解説

高学歴失業
こうがくれきしつぎょう

人的資本論にもとづけば,教育投資が進めば労働者の限界労働生産性と賃金が上昇し,ひいては経済成長につながることが想定されている。実際に人的資本論にもとづくマンパワーポリシーが1960年代以降多くの国で採用された。その先進的な事例がアメリカ合衆国である。また同国においては,1957年のソヴィエトによる人類最初の人工衛星スプートニクの成功も大きな影響を与え,国を挙げての大学教育奨励の時代に入った。しかし,1970年代の不況の影響,さらにはベビーブーム世代の大学進学が重なり,大卒者の供給が過剰となり,高学歴失業の問題が生じた。またこの時期,多くの発展途上国でも高学歴者の間で高い失業率が見られた。一方,日本においては1970年代以降学歴が高いほど失業率が低く,この傾向は80年代から顕著になる。ただし2000年代に入り,博士課程修了者が常勤職に就けないなどの就職問題が発生しており,70年代と異なる形での高学歴失業問題が生じている。
著者: 島一則

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

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