髄液(読み)ずいえき

日本大百科全書(ニッポニカ)「髄液」の解説

髄液
ずいえき

脳脊髄(せきずい)ともいい、脳室およびくも膜下腔(かくう)を満たしている液で、その総量は100~150ミリリットルといわれ、脳および脊髄を浸しながら絶えず循環している。その大部分は脳室(おもに側脳室)の脈絡叢(そう)で生成され、延背側の第四脳室にある小さいマジャンディMagendie孔およびルシュカLuschka孔とよばれる出口を通って脳室系からくも膜下腔に入り、脳と脊髄のくも膜下腔を循環し、上矢状(じょうしじょう)静脈洞の中に突出しているくも膜顆粒(かりゅう)を経由して静脈洞に吸収される。髄液は脳と脊髄を包み、骨と脳との間にあって滑剤のように作用し、また外からの機械的衝撃に対しては、クッションのように作用するなど、主として脳と脊髄を保護する役割を果たしている。

 中枢神経系の病気の際には、髄液は病気の診断の重要な資料となるので、腰椎(ようつい)あるいは後頭下の部位でくも膜下腔に針を刺し(腰椎穿刺(せんし)あるいは大槽穿刺)、髄液圧を測定したり、髄液を採取して混濁や凝固の有無、色調など外観を見たり、細胞や各種反応を検査したりする。

[海老原進一郎]

髄液圧

くも膜下腔に穿刺した針にマノメーター(圧力計)を接続して測定する。健康成人の髄液圧は臥位(がい)で70~150ミリメートル水柱であるが、圧測定中に咳(せき)をしたり、力んだり、頸(けい)静脈を圧迫すると、圧は上昇する。髄液圧は脳腫瘍(しゅよう)や髄膜炎、脳血管障害の急性期に高くなる。くも膜下腔が閉塞(へいそく)するような中枢神経系の病気があると、頸静脈を圧迫しても圧は上昇しない。

[海老原進一郎]

髄液混濁

正常な髄液は水様透明であるが、髄膜炎などで髄液中に白血球が多数混ざると、髄液は混濁する。そのほか、髄液のタンパク含有量が増加すると、髄液は黄色調を呈し、採液後に液が自然凝固したりする。脳出血やくも膜下出血などで髄液中に赤血球が混じると、髄液は血性あるいは黄色調となる。

[海老原進一郎]

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六訂版 家庭医学大全科「髄液」の解説

髄液(脳脊髄液)
(子どもの病気)

 脳や脊髄は、頭蓋骨脊柱がつくる空間に満たされた髄液という液体プールに浮いたような状態で存在しています。その構造から、脳に対する一種の衝撃吸収装置の役割も果たしていると考えられます。

 髄液は脳の中心部にある脳室という場所にある脈絡叢(みゃくらくそう)で生産され、脳室を通って脳の表面や脊髄周囲に流れ出て、最終的には静脈内に吸収されます。無色透明の液体で、1日におよそ500mlが生産されて循環しています。

 この液体の一部を採取して成分を検査したり、圧力を測ったりすることにより、脳脊髄で何が起きているかを知ることができます。水頭症では圧が異常に高くなり、中枢神経感染症では、白血球が多くみられることがあります。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

精選版 日本国語大辞典「髄液」の解説

ずい‐えき【髄液】

〘名〙 脳室および蜘蛛膜下腔(くもまくかくう)を満たしているリンパ液状の液。大部分は脳室の脈絡叢で生成され、脳および脊髄内を循環して、これを保護する。脳脊髄液
※解体新書(1774)一「其為罅者、有数種。ハ 其孔通貫者、穿血脈与神経処也。 其内空而如管者、蔵髄液処也」

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世界大百科事典 第2版「髄液」の解説

ずいえき【髄液 cerebrospinal fluid】

脳脊髄液ともいう。脳室,中心管およびくも膜下腔を満たしている間質液またはリンパ液によく似た組成の液で,全量100~150mlの1/2は脳部に,1/2は脊髄部にある。髄液は側脳室および第四脳室の内壁にある脈絡叢から毎分0.26~0.65ml分泌され,第四脳室の正中口および外側口を通って脳室の内から外へ流出し,小脳延髄槽,橋槽,テント切痕を経てテント上に達した後,大脳半球外表を上行し,上矢状静脈洞内へ陥入しているくも膜顆粒を通って血中に吸収される。

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デジタル大辞泉「髄液」の解説

ずい‐えき【髄液】

脳脊髄液のうせきずいえき

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栄養・生化学辞典「髄液」の解説

髄液

 →脳脊髄液

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

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