騒音性難聴/音響外傷(読み)そうおんせいなんちょうおんきょうがいしょう

家庭医学館 「騒音性難聴/音響外傷」の解説

そうおんせいなんちょうおんきょうがいしょう【騒音性難聴/音響外傷】

[どんな病気か]
 とても大きな音を聞くと、一時的(一過性(いっかせい))に耳鳴り難聴がおこりますが、これが治らなくなった状態です。
 強大な騒音に長期間さらされて、徐々に進行する難聴は騒音性難聴、爆発音などの強大な音響のために突発的におこる難聴は音響外傷といい、ほとんどの場合、耳鳴みみな)りをともないます。
 音響外傷は、状況によって片側の難聴になったり、両側の難聴になったりしますが、騒音性難聴は、両側が同程度の難聴になります。
 騒音の出る職場でおこった場合は職業性難聴といい、労働災害補償(労災)の対象になります。
 近年は、強大な音楽を聞いたためのディスコ難聴ヘッドホン難聴も報告されています。
[原因]
 強大な音響を聞いたために、内耳(ないじ)(蝸牛(かぎゅう))の感覚細胞(有毛細胞(ゆうもうさいぼう))が障害を受け、回復不能になるためにおこります。感覚細胞を障害するのは、同じ大きな音でも、低音よりも3キロヘルツを超えるような高音のほうが強いといわれています。
 難聴になるかどうかは個人差が大きく、同じような状況下にいても難聴になる人とならない人がいます。
[検査と診断]
 高音部、とくに4キロヘルツ付近の音が聞こえにくくなるC5dipという難聴を示します。
 騒音難聴では、騒音にさらされていた期間が長いほど難聴は進行し、高音部から低音部も聞こえにくくなり、日常会話にも支障が出るようになります。
[治療]
 急性期(難聴になった直後)には、各種のビタミン剤、循環改善薬(じゅんかんかいぜんやく)などを使用します。これで回復傾向がみられる場合もありますが、ふつう、聴力の回復は困難で、とくに難聴になってから長期間を経ている場合は治療に反応しません。そのため、予防がもっともたいせつになります。
[予防]
 騒音の出る職場では、耳せんを使用しましょう。また、定期的に聴力検査を受け、耳鳴りなどの自覚症状が出た場合は、安静を保ち、再び強大音にさらされないように注意することが必要です。
 ディスココンサートの強大音で難聴がおこることがありますから、スピーカーのそばで聞かないなどの注意を守ることがたいせつです。
 ヘッドホンは、適正な音量で聞き、ときどき耳を休ませるようにします。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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