馬子にも衣装(読み)まごにもいしょう

精選版 日本国語大辞典 「馬子にも衣装」の意味・読み・例文・類語

まご【馬子】 にも 衣装(いしょう)

馬子のような身分の低い者も衣装しだいで立派に見えるということ。つまらない者でも外面を飾れば立派に見えることのたとえ。〔俚言集覧(1797頃)〕

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デジタル大辞泉 「馬子にも衣装」の意味・読み・例文・類語

馬子まごにも衣装いしょう

つまらぬ者でも外形を飾るとりっぱに見えることのたとえ。

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ことわざを知る辞典 「馬子にも衣装」の解説

馬子にも衣装

衣装によって見た目が大きく変わり、つまらない者でも立派に見えることのたとえ。

[使用例] 愛くるしい、さわやかな相貌をした若い武士が栗毛の馬の手綱をしっかりとひきしめていた。「あれだよ」「えっ――あれが」「馬子にも衣裳というが、あれが藤作か」〈略〉あのきりっとした若侍、あれが昨日まで、この同じ道を炭俵を背負いながら往復していた藤作なのだ[尾崎士郎*本所松坂町|1956]

[使用例] 「ほんとにお似合いよ、章子さん」口に嘲笑が浮かんでいる。〈略〉
 「ありがと」章子がはにかむ。
 「馬子にも衣装って、ほんとうね、お父さん」わざと香也子は無邪気にいう。
 「香也子、馬子にも衣装とはね、本来は大したことないが、着物で引き立っている場合に使う言葉だよ」[三浦綾子*果て遠き丘|1977]

[解説] 「馬子」は、馬方ともいい、かつて人や荷物をのせた馬を引いていた者のことで、身分も低く粗末な身なりをしていました。ことわざは、馬子のように、ふだんは粗末なものを着ている者でも、立派な衣服を着ると見栄えがするということなので、いつでも誰に対しても使える表現ではありません。ことわざの成り立ちからして他人について、特に面と向かって言うのは、侮辱と受け取られてもしかたがないところがありますので、使用する際は注意が必要でしょう。
 今日でもよく使われる表現ですが、「馬子」が通じにくくなり、同音の「孫」と誤解する人も多くなっています。

英語〕Fine feathers make fine birds.(美しい羽が鳥を美しくする)

中国〕人是衣裳、馬是鞍(人は衣装、馬は鞍)

朝鮮옷이 날개다(衣装は翼だ)

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