…18世紀の末に日本の蘭学者が入手したのは,《Huishoudelik woordenboek》と題されたオランダ語版であったが,19世紀の初めに幕府はその翻訳を計画した。馬場貞由を中心に,当代の代表的な蘭学者を集めて行われたこの近世最大の翻訳事業はなかなかはかどらず,アルファベット順に並ぶ項目のなかから,当面実用的な意味の大きい項目を選んで訳し,部門別にまとめて幕府に提出された。訳書は全体を《厚生新編》と名付けられたが,幕府要人のあいだで回覧されただけで一般にはその存在も知られず,やがて幕末維新の動乱のなかで蘭学が過去のものとなるなかで忘れられてしまった。…
※「馬場貞由」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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