香車(読み)きょうしゃ

精選版 日本国語大辞典 「香車」の意味・読み・例文・類語

きょう‐しゃ キャウ‥【香車】

〘名〙
香木で作った車。美しい車。こうしゃ。
御伽草子・秋の夜の長物語南北朝)「香(キャウ)車宝馬の駕ならでは」
将棋の駒の一つ。好きなだけまっすぐ前方に進みうるもの。敵陣の三段め以内にはいって成れば金将と同じ働きをする。きょうす。きょう。やり。〔日葡辞書(1603‐04)〕
狂歌新撰狂歌集(17C前)下「金銀をもちたるわうのそばへ行きゃうしゃのなりは歩づめにぞあふ」
③ (将棋で②を「やり」というところから) 遊郭遊女を取り締まり、万事を切りまわす遣手(やりて)をいう。
仮名草子露殿物語(1624頃)「ちと物申さうと、のたまへば、さすが女も、きゃうしゃにて、何事かにさぶらふぞと、ことのほかなるけしきもなし」

こう‐しゃ カウ‥【香車】

〘名〙 香木で作った車。転じて、美しい立派な車。きょうしゃ。
太平記(14C後)五「華軒香車(カウシャ)の外を出でさせ給はぬ御事なれば」 〔盧照鄰‐行路難詩〕

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デジタル大辞泉 「香車」の意味・読み・例文・類語

きょう‐しゃ〔キヤウ‐〕【香車】

将棋のこまの名。まっすぐ前方へ幾間いくけんでも進める。成ると金将と同じ働きをする。香子きょうすきょう。やり。
1を「やり」というところから》遊郭のり手。

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普及版 字通 「香車」の読み・字形・画数・意味

【香車】こうしや

婦人の車。

字通「香」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の香車の言及

【遣手】より

…妓楼で遊女,新造,かむろ(禿)を監督する女。遣手婆(やりてばば)ともいい,また香車(きようしや)の別称がある。遊女らの行動を監視するほか,遊客を品定めして遊興の程度をはかるなど,遊女屋の最前線を統轄する役であり,細見(さいけん)類にも名まえが掲載された。…

※「香車」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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