香象(読み)コウゾウ

デジタル大辞泉 「香象」の意味・読み・例文・類語

こう‐ぞう〔カウザウ〕【香象】

密教灌頂かんじょうの際に用いる象の形をした香炉。象炉。
香気を発する発情期の象。強大な力をもつとされる。
「―の浪を踏んで大海を渡らん勢ひの如く」〈太平記一四

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精選版 日本国語大辞典 「香象」の意味・読み・例文・類語

こう‐ぞう カウザウ【香象】

〘名〙
① 発情期の象。この期間一種の香気を発する。そのときの力は強大で、制することができないという。
今昔(1120頃か)五「我、香象の住む林を知れり。此、見も不知ず、世に无(な)き象也」 〔北本涅槃経‐二三
仏語。密教の灌頂に際して用いられる道具の一種。象の形をした香炉。象炉。
小右記‐寛弘二年(1005)六月七日「十弟子有執物、此中有香象

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普及版 字通 「香象」の読み・字形・画数・意味

【香象】こうぞう

字通「香」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の香象の言及

【香炉】より

…平安文学に頻出する火取母(ひとりも)は火屋(ほや)をかぶせ内に金属の火入れを収めてある。研出(とぎだし)蒔絵や沃懸地(いかけじ)の華麗な阿古陀(あこだ)香炉は鎌倉以降に多く,このほか多角形の香炉や獅子や象をかたどった獅子香炉,香象など多くの種類がみられる。また千鳥香炉など南宋からの輸入が増大し,これらは砧(きぬた)青磁が多い。…

※「香象」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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