香川勝広(読み)かがわ・かつひろ

朝日日本歴史人物事典 「香川勝広」の解説

香川勝広

没年:大正6(1917)
生年嘉永6(1853)
明治時代の金工家。加納夏雄に彫金を学び,柴田是真に絵を習った。夏雄風の堅実な片切彫りを基調としながらも,柔らかみや渋さといった様々な味わいの幅広い彫技を兼ね備えた。代表作に「和歌浦図額」「鳳凰高彫花盛器」(いずれも宮内庁蔵),「猿猴図額」(東京国立博物館蔵),「柿形合子」(東京芸大蔵)などがある。明治工芸の特色のひとつに,宮内省型とも称される,高価な材料を使って熟達した彫技の格式張った独特な作風があるが,勝広のこれらの作品はその典型を示す。明治40(1907)年に帝室技芸員に推挙された。

(加島勝)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「香川勝広」の解説

香川勝広 かがわ-かつひろ

1853-1917 明治-大正時代彫金家
嘉永(かえい)6年10月生まれ。野村勝守,加納夏雄に彫金術を,柴田是真に画をまなぶ。明治31年東京美術学校(現東京芸大)教授となる。のち帝室技芸員。大正6年1月15日死去。65歳。江戸出身。本姓稲川通称は幸次郎。号は清了軒。作品に「和歌浦図額」「猿猴図額」。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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