首尾(読み)しゅび

精選版 日本国語大辞典 「首尾」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐び【首尾】

〘名〙
① 頭と尾。頭部と尾部。また、首脳部とそれに従うもの。
経国集(827)一三・重陽節得秋虹応製〈橘常主〉「首尾分形浮殿閣、雌雄半体跨池塘
※金刀比羅本保元(1220頃か)下「信西盛義朝が計に随ひける間、首尾(シュビ)相応して終に泰平をいたしき」 〔戦国策‐魏策上・哀王〕
② 始めと終わり。前と後。始めから終わりまで。終始前後
※続日本紀‐宝亀五年(774)八月辛卯「天皇以其軽論軍興首尾異計、下勅深譴責之
日葡辞書(1603‐04)「コノ コトノ xubiuo(シュビヲ) シッタカ」 〔漢書‐芸文志〕
③ 事のなりゆき。具合。事情。事の顛末(てんまつ)結果
※玉葉‐承安二年(1172)七月七日「近世事不首尾
※浮世草子・好色五人女(1686)三「いやこなたのお内儀はと尋けるに首尾(シュビ)あしく返事のしてもなし」
④ (━する) 物事をうまい具合に処理すること。また、都合よく物事が結了すること。
※三体詩素隠抄(1622)三「三四より以下に、起句ほどに、奇健なる句が、一聯あるならば、首尾して、唱ふる時に其曲調が、相応すべけれども」
縮図(1941)〈徳田秋声〉裏木戸「私がそのうち巧く首尾してあげるから」 〔後漢書‐孔安国伝〕
⑤ 機会。折り。
浄瑠璃世継曾我(1683)風流の舞「つづらを急ぐ賤男が、駕籠の簾に手をかけて又の御しゅびといふこともあり」
⑥ 男女の情交
※浮世草子・好色一代男(1682)六「三人同し枕をならべなから、下卑て首尾(シュビ)するわけもなく」
連歌俳諧の懐紙式の一種。一折りの懐紙の表に八句、裏に八句を書き付けて計一六句とし、または、表に六句、裏に六句を書き付けて計一二句として一巻となすもの。前者は四枚懐紙を用いる百韻の首尾にあたり、後者は二枚懐紙を用いる歌仙形式の首尾にあたる。首尾行。〔俳諧・俳諧古今抄(1730)〕

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デジタル大辞泉 「首尾」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐び【首尾】

[名](スル)《首と尾、頭と尾の意から》
始めと終わり。始めから終わりまで。終始。「首尾を整える」
物事の成り行きや結果。「事の首尾を説明する」「首尾は上々」
物事がうまくまとまるように処理すること。「会えるようにうまく首尾してやる」
[類語]始末次第結果結末帰結帰趨きすう帰着帰する成り行き仕儀しぎ成果

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普及版 字通 「首尾」の読み・字形・画数・意味

【首尾】しゆび

頭と尾。前後。本末。終始。〔孫子九地〕善く兵を用ふるは、譬(たと)へば然(そつぜん)の如し。然は常山の蛇なり。其の首をつときは、則ち尾至り、其の尾をつときは、則ち首至り、其の中をつときは、則ち首尾(とも)に至る。

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