饗庭野(読み)あえばの

改訂新版 世界大百科事典 「饗庭野」の意味・わかりやすい解説

饗庭野 (あえばの)

地元では〈あいばの〉と発音する。滋賀県北西部,高島の中央部に広がる洪積層台地東西約8km,南北約5km,標高200~230m。江戸時代は熊野山とよばれ,水利が悪いため農地として利用できず,周辺農村の入会林野となっていた。明治初年に放牧場の計画が立てられたが実現せず,1886年饗庭野の大部分が陸軍省によって買収され,陸軍砲兵隊の演習場として利用された。第2次世界大戦後,一時在日アメリカ軍の基地,1952年以後は保安隊(現,自衛隊)が駐屯し,59年にボーイスカウトの第2回日本ジャンボリーが開催された。74年国鉄(現JR)湖西線が開通して以来,縁辺の民有地で宅地開発が活発になった。なお1885年に相模原三方原に次いで三角測量網の饗庭野基線が設定された。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「饗庭野」の意味・わかりやすい解説

饗庭野
あえばの

滋賀県西部にある台地。高島市今津町新旭(しんあさひ)町、安曇川(あどがわ)町にまたがる。東西約8キロメートル、南北約5キロメートル。標高約200メートル。古琵琶湖(びわこ)層群洪積台地で、中央部は平坦(へいたん)であるが、周辺は開拓が進んでいる。1886年(明治19)から陸軍の演習場として利用され、現在では自衛隊の演習場や基地がある。

高橋誠一

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「饗庭野」の意味・わかりやすい解説

饗庭野
あえばの

滋賀県琵琶湖西岸にある洪積台地。「あいばの」ともいう。標高 200~250m。面積約 38km2高島市に属する。更新世に琵琶湖の湖底に堆積した古琵琶湖層からなる湖岸段丘で,安曇川沿いには河岸段丘も発達。水利が悪く,開拓は遅れた。江戸時代は熊野山といわれ,共同採草地。第2次世界大戦前は日本陸軍の演習場,戦後はアメリカ軍,次いで自衛隊に使用されるなど,軍用地としての歴史があり,現在は自衛隊基地。 1885年近畿地方の三角測量の基線が置かれた。

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世界大百科事典(旧版)内の饗庭野の言及

【饗庭野】より

…江戸時代は熊野山とよばれ,水利が悪いため農地として利用できず,周辺農村の入会林野となっていた。明治初年に放牧場の計画が立てられたが実現せず,1886年饗庭野の大部分が陸軍省によって買収され,陸軍砲兵隊の演習場として利用された。第2次世界大戦後,一時在日アメリカ軍の基地,1952年以後は保安隊(現,自衛隊)が駐屯し,59年にボーイスカウトの第2回日本ジャンボリーが開催された。…

※「饗庭野」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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