飽・厭・倦(読み)あく

精選版 日本国語大辞典 「飽・厭・倦」の意味・読み・例文・類語

あ・く【飽・厭・倦】

〘自カ四〙
① みたされた気持になる。満足する。たんのうする。
万葉(8C後)一五・三六一六「沖つ風いたく吹きせば吾妹子(わぎもこ)が嘆きの霧に安可(アカ)ましものを」
※宇治拾遺(1221頃)一「『大夫殿、いまだ芋粥(いもがゆ)にあかせ給はずや』と問ふ。五位『いまだあき侍らず』といへば」
② 十分になってもうたくさんだと思う。いやになる。飽きる。
※万葉(8C後)一・五六「河のへのつらつら椿つらつらに見れども安可(アカ)巨勢(こせ)春野は」
方丈記(1212)「魚は水にあかず」
③ (動詞の連用形に付けて補助動詞的に用いる) 十分に…する。みちたりるほど…する。また、…することにあきあきする。
土左(935頃)承平四年一二月二二日「かみなかしも、ゑひあきて」
源氏(1001‐14頃)夕霧何事も、いまはと見あき給ひにける身なれば」

あ・きる【飽・厭・倦】

〘自カ上一〙 (四段活用の「あく(飽)」から転じて、近世後期ごろから江戸で使われるようになった語)
① 十分になってもうたくさんだと思う。物事が長く続いたりして、いやになる。
洒落本・契情買言告鳥(1800)上「ばかのろいがあきられるまでは」
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉三「感染(かぶ)れる事の早い代りに、飽きる事も早く」
② (動詞の連用形に付けて補助動詞的に用いる) 十分に…する。…することにあきあきする。
※幼学読本(1887)〈西邨貞〉七「蚕が已に食ひ飽きて最早少しも食はざる頃は」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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