飛鳥衣縫樹葉(読み)あすかのきぬぬいのこのは

朝日日本歴史人物事典 「飛鳥衣縫樹葉」の解説

飛鳥衣縫樹葉

生年生没年不詳
6世紀後半,崇峻天皇のころの豪族大和飛鳥に住み,縫織を生業とする百済または加耶から渡来した新漢人の衣縫部を統率する伴造であったが,崇峻天皇のときに蘇我馬子がその家を壊して法興寺を作り始めたという。『日本書紀』によると,この寺はのち,推古4(592)年に竣工した飛鳥寺で,今の安居院(奈良県明日香村)はその後身。ほかに飛鳥川の弥勒石付近にあった木葉堰もかれが造った用水堰であろう。木葉堰から引かれた水は,斉明朝(655~661)ごろの儀式迎賓の場であった明日香村の石神遺跡,漏刻(水時計)のあった水落遺跡(国指定遺跡)などにも利用されたと思われる。6世紀初頭以降,朝鮮諸地域から移住した渡来人が飛鳥に多数住み,先進的な文化と開発技術によって繁栄したが,今も小字に名を残す樹葉はその中心人物のひとりであろう。

(鈴木靖民)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「飛鳥衣縫樹葉」の解説

飛鳥衣縫樹葉 あすかのきぬぬいの-このは

?-? 6世紀後半の豪族。
渡来系の飛鳥衣縫部(べ)の伴造(とものみやつこ)で,飛鳥衣縫氏の祖。崇峻(すしゅん)天皇元年(588)蘇我馬子が法興寺(飛鳥寺)を造営する際,自身の宅地寺地として提供した。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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