飛行機雲(読み)ひこうきぐも

精選版 日本国語大辞典 「飛行機雲」の意味・読み・例文・類語

ひこうき‐ぐも ヒカウキ‥【飛行機雲】

〘名〙 飛行機が低温で飽和状態の大気中を通過するときに尾を引くようにできる雲。原因プロペラや翼の後ろにできる渦(うず)による断熱冷却、燃料爆発による水蒸気発生排気ガス昇華核となって働くことなどとされる。飛行雲。
壊滅序曲(1949)〈原民喜〉「空に残る飛行機雲をみとれた」

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デジタル大辞泉 「飛行機雲」の意味・読み・例文・類語

ひこうき‐ぐも〔ヒカウキ‐〕【飛行機雲】

寒冷の湿った大気中を飛ぶ飛行機のあとに、尾を引くようにできる細長い雲。エンジン排気ガスが核となり、水蒸気が凝結して生じる。航跡雲コントレール
[類語]白雲はくうん白雲しらくも青雲紫雲茜雲黒雲暗雲彩雲浮き雲千切れ雲片雲横雲棚雲豊旗雲笠雲筋雲鰯雲鯖雲鱗雲薄雲羊雲群雲朧雲入道雲かなとこ雲

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「飛行機雲」の意味・わかりやすい解説

飛行機雲
ひこうきぐも

飛行している航空機のあとに発生する線状の雲。エンジンの排気ガスの中に含まれる水蒸気が急に冷やされて雲になる場合と、航空機の翼端気流剥離(はくり)して渦が生じる際に気圧が下がり、断熱冷却によって雲が発生する場合とがある。いずれも氷晶からなり、対流圏上部で発生する。発生した直後は白い線のように見えるが、しばらくすると幅が広くなり、しばしば小さなキノコ状の雲が一定の間隔で、線と直角の方向に並ぶのが見られる。巻雲(けんうん)や巻層雲のある空で飛行機雲が発生すると数時間持続し、自然の雲と見分けがつかなくなることもある。

[木村龍治]

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百科事典マイペディア 「飛行機雲」の意味・わかりやすい解説

飛行機雲【ひこうきぐも】

寒冷多湿の大気中を飛ぶ飛行機の航跡にできる雲。プロペラや翼端の部分で空気が急に膨張したときにできるものと,飛行機からの排気ガスから放出される凝結核やガス中に含まれる水蒸気の凝結で生ずる場合があるが,前者はごく短時間で消え,ふつう地上から望見されるのは後者の場合である。
→関連項目雲の穴

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「飛行機雲」の意味・わかりやすい解説

飛行機雲
ひこうきぐも
condensation trail; contrail

低温多湿の大気中を飛行機が通ったときその航跡にできる。排気による水蒸気および凝結核の増加,翼端やプロペラにできる渦の中の空気の膨張などによって生じる。発生後まもなく消失する。

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世界大百科事典(旧版)内の飛行機雲の言及

【渦】より

…このように揚力の働く翼は束縛された渦とみなすことができるが,翼端で切れることはできないので,流れに沿う後ひき渦として下流に伸び,運動開始時に放出され流されていく渦とつながってループを作っているものと考えることができる。この後ひき渦を核として水蒸気の凝縮したものが飛行機雲として見られるのである。粘性の大きな流体の場合は渦が集中せず拡散して分布し,流れの中の凹面や角のところで流線が壁から離れて循環流や渦の列を作ることがある。…

【雲】より

…前423年にアテナイのディオニュシア祭において上演されたアリストファネス作の喜劇。家族の浪費のため借金に苦しんでいるアッティカ郊外の農夫ストレプシアデスは,この借金を返さずに済むようにと,〈負け目の議論を勝たせる法〉を伝授するとのうわさがあるソクラテスの学校へ入学する。自身で術を会得することを断念した彼は,息子に術を得させるが,息子は借金を言いくるめて帳消しにする議論とともに,子が親をなぐっても良い論理をも習得してきてこれを実行。…

【水蒸気】より

…有名なロンドンの霧や大都市に発生するスモッグは,空気中の煙や塵埃(じんあい)の微粒子が凝結核となって水蒸気が凝結する現象である。また飛行機雲も,高空の清浄な空気中の過飽和の水蒸気が,飛行機のエンジン排気中の微粒子を凝結核として凝結する現象にほかならない。このような凝結が起こっているときには,空気中に微細な水滴(温度が低ければ氷片)が無数に浮遊し,本来は無色,透明な水蒸気が光の散乱によって白く見える。…

※「飛行機雲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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