風通(読み)かぜとおし

精選版 日本国語大辞典 「風通」の意味・読み・例文・類語

かぜ‐とおし ‥とほし【風通】

〘名〙 部屋などに風が吹き通ること。かざとおし。かぜとおり。
※二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉下「明取(あかりとり)の好い、風通(カゼトホシ)の好ささうな二階よ」

ふう‐つう【風通】

〘名〙 「ふうつうおり(風通織)」の略。
洒落本・粋町甲閨(1779か)「夜着はふうつうでもようおぜんす」

かぜ‐とおり ‥とほり【風通】

※尋常小学読本(1887)〈文部省〉五「風通りよき林の中に」

かざ‐とおし ‥とほし【風通】

〘名〙 =かぜとおし(風通)〔物理学術語和英仏独対訳字書(1888)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「風通」の意味・読み・例文・類語

ふう‐つう【風通】

風通織り」の略。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「風通」の意味・わかりやすい解説

風通 (ふうつう)

表裏色違いの織文様があらわされる〈両面織〉あるいは〈二重(にじゆう)織〉のこと。すなわち経緯糸ともに表裏2組の色糸を用い,表は表経(おもてだて)と表緯(おもてぬき)で,裏は裏経と裏緯で組織し,製織過程で表裏の糸を浮沈交替させつつ織りあげた織物をいう。普通2色を用い,同色の経緯糸を組み合わせて織り,一定間隔でこれを交互に浮沈交替して,石畳網代紗綾形(さやがた)などの幾何学的な文様をあらわしたものが多い。歴史的には上エジプト出土のコプト染織品の後期(7~8世紀)の作品のうちに,日本では正倉院伝世の裂類のうちに,この種の作例が認められる。今日では風通縮緬,風通御召,風通紗綾などの高級和服地として応用される。また絹物のほか,羊毛や合成繊維による各種のものが洋服地として製織されている。
執筆者:


出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「風通」の意味・わかりやすい解説

風通【ふうつう】

二重織による模様織物の一種。表組織と裏組織を模様のところで交換させ,表裏に色違いの模様を織り出したもの。和服地,ふとん,婦人洋服地,タオル地などに応用。風通御召,壁風通,風通絣(ふうつうがすり),風通絽(ろ)などがある。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「風通」の意味・わかりやすい解説

風通
ふうつう

織物の組織名風通織の略。両面錦ともいわれるように二重織で表裏の経糸,緯糸にそれぞれ違った色糸を用い,その組織を模様に従って表裏に交互させ,表裏の模様が同じで色が反対になるように織り出したもの。平安時代にこの織法の原初型があるが,量産されて流行したのは明治中期以降である。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の風通の言及

【織物】より

…ちょうど2枚の織物を一部で綴り合わせたような状態になっているものと,経糸あるいは緯糸だけを二重にしたものもある。風通(ふうつう)などがこれである。また二重織の変化したものに,地組織の経糸,緯糸とは別の経または緯糸をいっしょに織り込んだ織物で,添毛織物あるいはパイル織といわれるものがある。…

※「風通」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android