風と共に去りぬ(読み)かぜとともにさりぬ(英語表記)Gone with the Wind

精選版 日本国語大辞典 「風と共に去りぬ」の意味・読み・例文・類語

かぜとともにさりぬ【風と共に去りぬ】

(原題Gone with the Wind) 長編小説マーガレット=ミッチェル作。一九二六~三六年成立。南部から見た南北戦争と、没落した大農場主の娘スカーレット=オハラの愛情生活を、精細な時代背景とともに描いた大作。一九三七年ピューリッツァー賞を受賞。世界的ベストセラーとなる。一九三九年にビクター=フレミング監督、ビビアン=リークラーク=ゲーブル主演で映画化

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デジタル大辞泉 「風と共に去りぬ」の意味・読み・例文・類語

かぜとともにさりぬ【風と共に去りぬ】

《原題Gone with the Wind米国の女流小説家ミッチェルの長編小説。1936年刊。南北戦争前後の変動著しい南部を舞台に、勝ち気なヒロイン、スカーレット=オハラの波瀾はらんに満ちた生き方を描く。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「風と共に去りぬ」の意味・わかりやすい解説

風と共に去りぬ
かぜとともにさりぬ
Gone with the Wind

アメリカの女流作家マーガレット・ミッチェルの長編小説。1936年刊。南部のジョージア州アトランタ郊外の大農園タラに生まれ育った魅力的で勝ち気なスカーレット・オハラは、愛するアシュレーがいとこのメラニーと結婚することを知り、アシュレーへのつらあてに、彼の妹と結婚するはずのメラニーの兄チャールズと強引に結婚する。やがて南北戦争の勃発(ぼっぱつ)で、夫チャールズは出征し戦死、アシュレーも従軍する。スカーレットはアトランタに移って、メラニーとともに看護婦として働くが、そのころ、南軍に物資を供給する、以前アシュレーとメラニーの婚約が発表されたパーティーで出会った、レット・バトラーと再会する。北軍のアトランタ進攻が始まり、彼女は臨月のメラニーを連れて逃げるためレットの助けを借りる。農園タラは母の死と父の精神錯乱のために荒れ果て、スカーレット自ら汗にまみれて働かねばならなかった。ついに南軍は敗れ、苦しい再建時代を迎えることになる。スカーレットは農園維持のため妹の恋人を誘惑して再婚するが、この夫も死亡し、やがて、時勢にのって活躍するレットと結ばれる。レットは、2人の間に生まれた娘の死後、スカーレットから離れていく。メラニーの死後、かつての恋人アシュレーに退けられたスカーレットは、そのとき、自分が愛していたのはレットその人だったと初めて気づく。

 虚栄心と愛と勝ち気な性格が織り成すヒロイン、スカーレットの人間像が、南北戦争という変動激しい時代を背景に生き生きと描かれ、世界中の読者を魅了した。発行部数は、アメリカでは1936年中に100万部を超えるベストセラーとなり、以来世界中で2000万部を超えるといわれる。

[松山信直]

映画

アメリカの独立プロデューサー、デビッド・O・セルズニックは、発刊後ただちに映画化権をとり、1938年秋から撮影開始、1939年12月にテクニカラーの上映時間3時間40分の大作として公開した。監督としてはビクター・フレミングの名があげられているが、実際はジョージ・キューカーら数名の監督が関与しており、これはプロデューサー、セルズニックの作品といえよう。スカーレットにビビアン・リー、レット・バトラーにクラーク・ゲーブルが扮(ふん)した。公開翌春のアカデミー賞では作品賞をはじめ計9個のオスカーを獲得し、大ヒットした。日本公開は戦争のため1952年(昭和27)9月。以来テレビ放映も含めて、今日まで繰り返し上映されている。

[畑 暉男]

『大久保康雄・竹内道之助訳『風と共に去りぬ』全5冊(新潮文庫)』

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改訂新版 世界大百科事典 「風と共に去りぬ」の意味・わかりやすい解説

風と共に去りぬ (かぜとともにさりぬ)
Gone with the Wind

アメリカの女流作家マーガレット・ミッチェルMargaret Mitchell(1900-49)の長編小説。1936年刊。南北戦争と戦後の再建期を背景に,ジョージア州の大農場主の娘で勝気なスカーレット・オハラを中心とした愛欲関係と激動する社会を,南部人の立場から描き,出版後1年で150万部という空前のベストセラーになり,37年ピュリッツァー賞受賞。1930年代という不況の時代にあって,華やかにそしてたくましく生きるスカーレットの姿が,多くのアメリカ人の共感を呼び,また日本をはじめ各国で翻訳された。39年には,スカーレット役にビビアン・リー,その相手役の無頼漢レット・バトラー役にクラーク・ゲーブルを得て,D.O.セルズニックにより映画化された。作者ミッチェルはジョージア州アトランタの生れ。《アトランタ・ジャーナル》誌で働いたのち,執筆に10年をかけて唯一の作品となる《風と共に去りぬ》を完成した。49年交通事故死。
執筆者:

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百科事典マイペディア 「風と共に去りぬ」の意味・わかりやすい解説

風と共に去りぬ【かぜとともにさりぬ】

M.ミッチェルの長編小説。《Gone with the wind》。1936年刊。南北戦争から戦後への社会変動と,その中を生きぬく進取の気性をもつ女性スカーレット・オハラをめぐるロマンスを描いた大作で,空前のベストセラーになった。1939年にはD.O.セルズニック監督,ビビアン・リーとクラーク・ゲーブル主演で映画化された。近年はその人種差別的観点が問題視されることもある。
→関連項目カラー映画ゲーブルリー

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デジタル大辞泉プラス 「風と共に去りぬ」の解説

風と共に去りぬ

①米国の女流小説家、マーガレット・ミッチェルの長編小説。1936年刊。
②①を原作とした1939年製作のアメリカ映画。原題《Gone with the Wind》。ロマンス映画の不朽の名作。監督:ビクター・フレミング、出演:クラーク・ゲーブル、ビビアン・リー、レスリー・ハワード、オリビア・デ・ハビランド、ハティ・マクダニエルほか。第12回米国アカデミー賞作品賞、監督賞、主演女優賞(ビビアン・リー)、助演女優賞(ハティ・マクダニエル)、脚色賞、室内装置賞、撮影賞(カラー)、編集賞受賞。
③アメリカのポピュラー・ソング。作詞:ハーブ・マジソン、作曲:アリー・リューベル。原題《Gone With The Wind》。1937年の作品。①に触発されて作られたとされている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「風と共に去りぬ」の意味・わかりやすい解説

風と共に去りぬ
かぜとともにさりぬ
Gone with the Wind

アメリカの女流作家 M.ミッチェルの小説。 1936年刊。ピュリッツァー賞受賞。南北戦争時代と戦後の再建時代のジョージアを背景に,美しい不屈の南部女性スカーレット・オハラが荒廃の時代をたくましく生抜いていく姿を,気弱な理想主義者アシュレー・ウィルクスへの彼女のいちずな愛情や,物質主義的な行動家レット・バトラーとの愛欲図などをからませながら,抑制のきいた文体と精緻な時代描写によって描き出した歴史物語。出版後半年で 100万部,作者の生前に 40ヵ国で 800万部を売尽すという大ベストセラーとなり,39年映画化された。

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世界大百科事典(旧版)内の風と共に去りぬの言及

【アトランタ】より

…96年,第26回夏季オリンピックが開かれた。マーガレット・ミッチェルの小説《風と共に去りぬ》(1936)の舞台としても知られる。【正井 泰夫】。…

※「風と共に去りぬ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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