類
るい
伝統的論理学で、一つの概念Aが、もう一つの概念Bを包むとき、AをBの類概念、BをAの種(しゅ)概念とよぶ。また、それぞれの概念の外延を、互いに類classと種とよぶ。たとえば、動物は人間に対し類であり、人間は動物に対し種である。また、動物は生物に対し種speciesであり、生物は動物に対し類である。このように類と種とは相対的な概念である。集合のことばでいうと、一つの集合と、その部分集合ないし元(げん)との関係が、類と種との関係になる。とくに生物学などでの分類には、類と種との関係が盛んに使われる。
公理的集合論では、より大きな集合の元となりうる普通の集合を狭義の集合とよび、元をもちうるが、それを集めても集合をつくることができないような大きな集合と、この狭義の集合とをあわせたものを類とよぶ。これは、抽象の原理、すなわち、「一つの条件を満たすものの全体が一つの集合をなす」を乱用すると矛盾がおこるので、これを防ぐために考えられた区別である。
類や種に、個物と同様な実在性を認めるかどうかという問題は、いわゆる普遍の問題になる。
[吉田夏彦]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
るい【類】
〘名〙
① たがいに似ていること。種類が同じであること。また、そのもの。同類。なかま。たぐい。ともがら。名詞について
接尾語のようにも用いられる。
※竹取(9C末‐10C初)「たつはなるかみのるいにこそ有けれ」
※浮世草子・武家義理物語(1688)序「至極の所
古今その物がたりを聞つたへて、其類
(ルイ)を是に集る物ならし」 〔書経‐舜典〕
② 一家。一族。一門。親戚縁者。やから。
※蜻蛉(974頃)上「まゐらんとするに、をりなきるいのあれからなん」
※今昔(1120頃か)一六「此の乳母の類也ける僧の有けるを尋て」
③ 動植物の分類で、綱・目の代わりに用いる語。〔生物学語彙(1884)〕
④ 数学で、集合の元を互いに同値なもの同士に組分けしたときの組のこと。同値類ともいう。
るい‐・する【類】
[1] 〘自サ変〙 るい・す 〘自サ変〙
① 似る。似かよう。同じたぐいに属する。同じ仲間になる。
※今昔(1120頃か)一「百千倍に及とも不可類ず」
② ともに行動する。連れ立つ。ともなう。随伴する。
※大和(947‐957頃)二九「異(こと)上達部など、るいしてまゐり給て」
[2] 〘他サ変〙 るい・す 〘他サ変〙 同じ類に入れる。
※太平記(14C後)一一「命を
塵芥に比し、義を金石に類
(ルイ)して」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「類」の意味・読み・例文・類語
るい【類】
1 互いに似ていること。同じ種類のものであること。また、そのもの。「ビタミンの類が欠乏する」「類を異にする」「古今に類を見ない出来事」
2 生物の分類上の綱・目などに相当するひとまとまり。「哺乳類」「霊長類」
3 「類概念」の略。
4 一族。一門。親類。
「厳めしく―ひろく、むすめがちにて」〈源・須磨〉
[類語]ジャンル・種類・種・品種・範疇・たぐい・例
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