類型
るいけい
type 英語
type フランス語
Typus ドイツ語
類、あるいは、一つの集合の元(げん)に共通するパターンが明らかであると思われるとき、この類をさすのに、類型ということばが使われる。もともと生物の分類に使われたものであるが、芸術論のほうで様式の分類にも使われるようになった。また、思想の分類などにも使われることがある。これに対して、近世以降の物理学などでは、時間、空間、質量などに関する根本概念、および、これらから論理的に定義された概念だけで、その取り扱う現象のすべてを記述し、分類しようとする。したがって、そこでは、類型といった考え方が登場しにくい。ここに目をつけて、類型とは、生命や意識、社会現象の登場するところで初めて有効な概念であるとし、かつ、この概念を使用するか否かで、無機的な自然科学と、それ以外の学問とを区別しようと考える人がある。しかし、まず物理学においても、その理論を現実に経験する事象に適用しようとするとき、人は、知覚を類型的に分節するのであるから、類型をまったく使用しないのではない。
[吉田夏彦]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
類型
るいけい
type
学問方法論上の概念。本来は動植物の分類に使用される概念。ある特定の多数の個体に共通する普遍性があり,しかも同一レベルにある他のそれに対して独自の特異性をもつ個体群を類ないし類型と称する。動植物学上のこの類概念が,歴史的精神的ひいては文化的現象に適用されて,精神的文化的諸価値の整序理解に可能な方法論上の概念となった。特にこの方面で W.ディルタイの果した功績は大きい。また M.ウェーバーの「理念型」も広義にはこの類型論に含めることができる。しかし自然科学上の分類概念を精神,文化科学に適用するにあたって問題がなくはない。なぜなら歴史学,経済学,政治学,社会学など多部門で使用されている類型概念そのものが,類型構築者の価値体系,広くはその構築者が受けた思想や教育,つまり彼が育った文化的統体に大きく依存しているからである。
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るい‐けい【類型】
〘名〙
① 似ている型。
② 同一の型、
型式。特に、幾つかのものに共通する本質的な一つの
性質、また型。
典型。
※ふらんす物語(1909)〈
永井荷風〉船と車「『自然』其のものが
美麗の極、已に
クラシックの類型になりすまして居るやうで」
③ ありふれた型。決まりきった型。
※『
破戒』評(1906)〈
島村抱月〉「
作者が説明に力めてゐるに拘らず、類型の域に迄も達して居なくはあるまいか」
④ その中に多数の個体を含みながら、個体相互に共通な
特性を示している類概念の
一種。
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デジタル大辞泉
「類型」の意味・読み・例文・類語
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普及版 字通
「類型」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報