頭付(読み)かしらづけ

精選版 日本国語大辞典 「頭付」の意味・読み・例文・類語

かしら‐づけ【頭付】

〘名〙
能楽囃子(はやし)(=大鼓・小鼓太鼓)の演奏のやり方(手配り)で、頭の手組みを打つこと。段落の区切りの部分に打つ手かしらつき。転じて、一般の囃子の打ち初めの部分をいう。
② 鼓の演奏の手配(てくばり)をしるすこと。また、そのしるしたもの。
※形影夜話(1810)上「我は記臆あしき故、宵よりの咄、一つ一つかく頭付し置なり」
高野山文書‐正応五年(1292)正月一五日・太田庄文書申出目録「任御評定之旨、有頭付勝負
⑥ 江戸時代、信州伊那地方で、新しく村内の頭役となること。
火事の時の半鐘や太鼓などの鳴らし方の一つ。近火の場合にはげしく鳴らすもの。かしらつき。
歌舞伎有松染相撲浴衣(有馬猫騒動)(1880)大詰「『煙りを目当に櫓から』『打ち出す太鼓の頭附(カシラヅ)け』」

かしら‐つき【頭付】

〘名〙
① (「つき」は様子の意) 頭の様子、形。頭髪の結い方。あたまつき。
蜻蛉(974頃)下「いとらうたげにて、かしらつきをかしげにて」
② (「つき」は付いていることやものの意) 食膳に出す魚で、頭部も付いた一匹のままのもの。おかしらつき。
※古今料理集(1670‐74頃)五「頭付とはそのまま腹の切れざるをこけ斗さりて用る事也」
※歌舞伎・有松染相撲浴衣(有馬猫騒動)(1880)大詰「『今日この寺へ釣鐘を奉納すると聞いたゆゑ、煙でも出りゃあ八丁内』『頭附(カシラツ)きで飛んで来て、撞楼堂をたたき毀し』」
④ (頭に付いていることや者の意か) 家来の中でのおもだった者。統領
※歌舞伎・伊勢平氏栄花暦(1782)三立(暫)「扨は汝(うぬ)高倉の宮のかしら付(ツキ)

あたま‐つき【頭付】

〘名〙
① 頭のかたち、様子。かしらつき。
② 髪の結い具合。かみかたち。
浮世草子好色五人女(1686)三「若ひもの集て頭(アタマ)つきの吟味

かぶ‐つけ【頭付】

〘名〙 書物、帳簿などで、ある事項を見るのに都合のよいように書き出した見出し。
※浮世草子・好色敗毒散(1703)五「万遣捨帳(よろづやりすてちゃう)の蕪付(カブツケ)、あらまし拾うて見れば、越後屋の呉服代六百三十両、これが目に立つばかりにて」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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