頬貫(読み)つらぬき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「頬貫」の意味・わかりやすい解説

頬貫
つらぬき

沓(くつ)の一種。ただ貫と書かれることもある。平安、鎌倉時代に武将が大鎧(おおよろい)を着用し、乗馬する際に履いた毛皮の沓。南北朝以降、徒歩戦に移るとともに草鞋(わらじ)の使用が多くなって、随兵が晴の装いとして用いた。普通、熊の毛皮でつくられたが、猪(いのしし)、鹿(しか)のほか、晴のときには豹(ひょう)、獺猢(らっこ)、羚羊(かもしか)などの毛皮の頬貫も使われた。巾着(きんちゃく)袋のように製せられた皮沓の縁に緒を貫いて、足の甲の上で引き締めて結んだため、頬貫またはなまって綱貫(つなぬき)とよばれた。

[高田倭男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例