(読み)じゅん

精選版 日本国語大辞典 「順」の意味・読み・例文・類語

じゅん【順】

〘名〙
① (形動) 正道に従うこと。理にかなっていること。また、そのさま。順道。⇔
※車屋本謡曲・蝉丸(1430頃)「夫花の種は地にうづもれて千林の梢にのぼり、月の影は天にかかって万水の底にしづむ。是等はみないづれをか順と見、逆なりといはん」 〔易経‐予卦〕
② (形動) 動作ややり方などの順序が正しく適当であるさま。また、そのような順序。順当。⇔
風姿花伝(1400‐02頃)六「音曲より働きの生ずるは、じゅん也」
坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉五「訳があるなら、訳を話すが順だ」 〔春秋左伝‐宣公四年〕
③ (形動) おとなしいこと。素直であること。しとやかなこと。また、そのさま。従順
※古活字本毛詩抄(17C前)二「順な心があって、あれが心がなをりたらば、従順もせうぞ」 〔礼記‐祭義〕
④ かたわら。あたり。ならび。
※仮名草子・似我蜂物語(1661)上「天井をやぶりあけ、盥を持てあがり、そろそろと座敷の順(ジュン)まで行」
⑤ あることが、順序を追って次々に行なわれるさま。順番。「に」を伴って副詞的に用いることもある。
※梵舜本沙石集(1283)八「嫡子こぼしをもて、つらをはたと打に、軈而次の座にゐたる、おとなの頬を、はたと打。是はいかにと云ければ、順の事かと思候てとて、うち咲たりける」
滑稽本・七偏人(1857‐63)四「二番三番と段々順に行くのだらう」
論理学で、ある命題に対して、換位、換質、換質換位操作を加えて、別の命題を作る場合、これらの別の命題に対して、もとの命題をさす。

じゅん・じる【順】

〘自ザ上一〙 (サ変動詞「じゅんずる(順)」の上一段化した語) =じゅんずる(順)
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)四「万事が夫に順(ジュン)じるから」

ずん【順】

〘名〙 次第にめぐること。順番。じゅん。
紫式部日記(1010頃か)寛弘五年一一月一日「しか盃のずんの来るを、大将はおぢ給へど、例のことならひの千とせ万代にて過ぎぬ」

じゅん‐・ずる【順】

〘自サ変〙 じゅん・ず 〘自サ変〙 したがう。
※却癈忘記(1235)上「信なき智は仏法に順ぜざるのみにあらず」

じゅん‐・ず【順】

〘自サ変〙 ⇒じゅんずる(順)

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デジタル大辞泉 「順」の意味・読み・例文・類語

じゅん【順】[漢字項目]

[音]ジュン(呉) [訓]したがう
学習漢字]4年
相手に付き従う。「順応じゅんのう帰順恭順
人に逆らわない。すなお。「温順柔順従順
筋道に従って進むこと。物事の次第。「順位順順順序順番逆順席順打順筆順
障りがない。都合がよい。「順境順調順当不順
[名のり]あや・あり・おさ・おさむ・かず・しげ・す・すなお・とし・なお・のぶ・のり・はじめ・まさ・みち・みつ・むね・もと・やす・ゆき・よし・より

じゅん【順】

[名・形動]
ある基準に従った、物事の配列。順序。順番。「を追って話す」
物事の行われる段取りが正当・順当であること。理にかなっていること。また、そのさま。「お年寄りには席を譲るのがだ」⇔
素直でおとなしいこと。また、そのさま。「若者
女人は―を以て道とす」〈十善法語・五〉
[類語]順序順番席順席次序列順位配列着順語順手順道順オーダー

ずん【順】

じゅん」の直音表記
「しか盃の―の来るを」〈紫式部日記

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「順」の解説

じゅん

1812-1831* 江戸時代後期の女性。
文化9年生まれ。長門(ながと)(山口県)赤間関の名主中野九兵衛の娘。悪疫の流行で父母が死亡し,姉とともに母の実家に引きとられる。母方の宗家の男から妻にともとめられ,婚約者への節義をまもって天保(てんぽう)元年12月10日自害。19歳。

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