音読(読み)おんどく

精選版 日本国語大辞典 「音読」の意味・読み・例文・類語

おん‐どく【音読】

〘名〙
漢字字音で読むこと。おんよみ。⇔訓読
江談抄(1111頃)二「於大師御名音読也」
文章などを声を出して読むこと。朗読。⇔黙読
※新聞雑誌‐一六号・明治四年(1871)一〇月「『米国』より教師を招き音読(オンドク)洋人に託し」

おん‐よみ【音読】

〘名〙 漢字を音(おん)でよむこと。おんどく。⇔訓読み

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「音読」の意味・読み・例文・類語

おん‐どく【音読】

[名](スル)
声を出して文章を読むこと。⇔黙読
漢字を字音で読むこと。おんよみ。⇔訓読
[類語]黙読朗読棒読み空読み暗唱口誦読誦朗唱拝読拝誦代読読み上げる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「音読」の意味・わかりやすい解説

音読
おんどく

(1)漢文を、その語順のとおり、全部字音で読むこと。漢文を、日本語の文法に準じて訳読する「訓読」に対していう。

(2)印刷されたり手記されたりした文字言語を音声化して読むこと。文字言語を音声化しないで(内言化して)読む「黙(目)読」に対していう。一般に子供の読みは、音読から微音読、唇読(声は出さずに唇だけを動かして読む)を経て黙読へと発達する。大人の日常生活では黙読がもっとも普通の形式になっているが、文章の種類や読む目的によって音読することもある。音読には、理解のための音読と、理解したものをその意味内容に即して表現し、他人に伝え、鑑賞させるための音読とがある。後者は、前者と区別して「朗読」「表現読み」とよばれることもある。

 読むことの学習指導においては、音読は、速度限界があって速く読みすぎることがない、口と耳とを働かせながら読むので理解を助け深める、読解の程度を判断できる、読むことの矯正指導ができる、発声発音などの指導ができる、話しことばと関連した事項の指導ができる、などの点に長所がある。また朗読は、文字言語の音声化を通じて、その言語作品の内容、解釈などを豊かに表現しようとするものであり、1人で朗読するほかに、役割を決めて読む「役割読み」、一人読みと集団読みとで組み立てていく「群読」、読むだけでなく簡単なしぐさをつけていく劇化などの方法がある。

[大槻和夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の音読の言及

【黙読】より

…いまでは日常化してなんの疑いももたれてはいないが,歴史的には近代市民社会形成過程のある時期以降に支配的,社会的になった様式,慣習である。これに対して,ローマの文人社会で公開朗読会が本の出版にひとしい意味をもっていたように,古代,中世では声を出して他人にも自分にも聞かせる〈音読〉が支配的様式であった。これは〈音読〉が共同体内部の語り,吟遊詩人の伝統と直結していたためである。…

※「音読」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android