韓紅花(読み)からくれない

日本大百科全書(ニッポニカ) 「韓紅花」の意味・わかりやすい解説

韓紅花
からくれない

古代色名唐紅とも書かれる。濃い紅色。韓は異国の意。さえた濃紅色の美称としても使われた。『延喜式(えんぎしき)』縫殿(ぬいどの)寮の条、雑染用度の項に「韓紅花綾(あや)一疋(ぴき)。紅花(べにばな)大十斤(きん)。酢一斗。麩(ふ)一斗。藁(わら)三囲、薪一百八十斤。帛(はく)一疋。紅花大六斤。酢六升。麩六升。藁二囲、薪一百廿斤。羅(ら)一疋。紅花大七斤。酢七升。麩五升。藁二囲半。薪一百五十斤」と、染めるための染料や媒染剤そのほかが記されている。『古今集』に「ちはやぶる神代もきかずたつたがわから紅(くれない)に水くくるとは」があげられている。

[高田倭男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

色名がわかる辞典 「韓紅花」の解説

からくれない【韓紅花】

色名の一つ。唐紅とも書く。JISの色彩規格では「あざやかな」としている。一般に、キク科ベニバナを使って繰り返し染めた濃い紅色のこと。深紅しんくと同じ色をさす。深紅とは混じりけのない真の紅染の色を意味する。「くれない」は呉くれの国から渡来した染料のことで、朝鮮または中国から伝えられたことから、この名がついたとされる。「から」は赤を強調する「あから」の略とする説もあるが、定説とはなっていない。

出典 講談社色名がわかる辞典について 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android