(読み)しりがい

精選版 日本国語大辞典 「鞦」の意味・読み・例文・類語

しり‐がい【鞦】

〘名〙 (「しりがき(鞦)」の変化した語)
馬具の緒所(おどころ)。馬の頭・胸・尾に繋(つな)げる緒の総称。材質製法によって革鞦、糸鞦、組鞦、畦鞦、織鞦があり、装飾に総(ふさ)を垂らした総鞦に連著(れんじゃく)と辻総(つじふさ)があり、連著の総の大小厚薄によって厚総(あつぶさ)と小総の別があり、制作地によって上総鞦・仙台鞦などがある。三繋(さんがい)押掛(おしかけ)
※宇津保(970‐999頃)吹上上「赤き馬に、赤きしりがいかけて乗り給ふ」
② 三繋(さんがい)のうち、特に馬の尾の下から後輪(しずわ)の鞖(しおで)に繋げる緒。
③ 牛の胸から尻にかけてとりつけ、車の轅(ながえ)を固定させる緒。
※枕(10C終)二二四「牛のしりがいの香の、なほあやしう、嗅ぎ知らぬものなれど、をかしきこそもの狂ほしけれ」

お‐ぶさ を‥【鞦】

〘名〙 (「尾房」の意) 房のように広がった鳥の尾。
※十巻本和名抄(934頃)七「鞦 文選射雉賦云青鞦〈音秋師説乎布佐〉李善曰鞦夾尾之間也」

しり‐がき【鞦】

〘名〙 (「尻繋(か)き」の意) =しりがい(鞦)新撰字鏡(898‐901頃)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「鞦」の意味・読み・例文・類語

しり‐がき【×鞦】

しりがい」に同じ。〈名義抄

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【面繫】より

…馬面や銀面も面繫に着装される。面繫は装飾的な要素をもつ胸繫(むながい)ならびに尻繫とともに三繫とよばれ,三懸,三掛とも書き,その総称として鞦(しりがい)の字も用いられた。胸繫は胸から鞍橋に掛け渡して前輪の鞖(しおで)に結びつける飾りで,杏葉や馬鐸(ばたく)を垂下し,馬鈴,飾金具などをつける。…

※「鞦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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