鞍替（読み）くらがえ

精選版 日本国語大辞典

くら‐がえ ‥がへ【鞍替】

〘名〙 (「くらがい」とも)

① 馬の鞍につけて予備に持っていくもの。

※庭訓往来（1394‐1428頃）「兵粮八木、鞍替糒袋、行器、野宿料、雨皮、敷皮、油単等雑具」

② 遊女や芸者などが他の遊女屋または遊里に勤めの場所をかえること。主家をかえること。また、場所を移すこと。

※洒落本・跖婦人伝（1753）「吉原へ蔵(クラ)がへのすすめにきたので有べしと、ひとりのみ込み」

③ それまでにしていたことをやめて、他のことをはじめること。職業などをかえること。

※満韓ところどころ（1909）〈夏目漱石〉一二「急に日本語に鞍換(クラガヘ)をして、ゼントルメンの次へもってきて」

出典　精選版 日本国語大辞典

世界大百科事典（旧版）内の鞍替の言及

【女衒】より

…生業上，女の姿形を見ることから〈女見（じよけん）〉といい，それがなまったものというが，確証はない。女衒は遊女屋と特定の関係を結ぶとともに，地方にも連絡網をもち，初めの紹介のほか交換，移譲(鞍替（くらがえ）)にも暗躍した。誘拐またはそれに近い手段を用いることも多く，契約成立時には周旋料のほか滞留雑費などを多額に差し引いて暴利を得た。…

※「鞍替」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」