精選版 日本国語大辞典 「面無」の意味・読み・例文・類語
おも‐な・し【面無】
〘形ク〙 (顔の意味の「おも」と形容詞「なし」とが結び付いてできた語)
※書紀(720)継体二四年九月(前田本訓)「臣未だ勅の旨を成さずして、京郷(みやこ)に還(まてこ)ば、労へられて往きて、虚しくして帰れるなり。慚(はつか)しく悪(オモナイ)こと安にか措(お)かむ」
※源氏(1001‐14頃)橋姫「はしたなかるべきやつれをおもなく御らんじとがめられぬべきさまなれば」
※竹取(9C末‐10C初)「おもなき事をば、はぢを捨つるとは言ひける」
※枕(10C終)四七「すこし老いて、物の例知り、おもなきさまなるも、いとつきづきしくめやすし」
[語誌]上代では、すべて①の意であったが、中古になると、①の意の例はまれになり、一般に第三者の立場からの、②の意を表わすものとなった。ただし、中世、近世の擬古的文章では、再び①の意に用いられるようにもなっている。
おもな‐げ
〘形動〙
おもな‐さ
〘名〙
おも‐な【面無】
(形容詞「おもなし」の語幹)
① 恥ずかしいこと。面目ないこと。
※源氏(1001‐14頃)玉鬘「『おもなの人や』とすこし笑ひ給ふ」
② あつかましいこと。
※源氏(1001‐14頃)紅葉賀「『おもなのさまや』とみ給ふもにくけれど、『わりなし』と思へりしもさすがにて」
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