面打(読み)めんちょう

精選版 日本国語大辞典 「面打」の意味・読み・例文・類語

めん‐ちょう ‥チャウ【面打】

〘名〙
顔面を打つこと。〔文明本節用集(室町中)〕
② (「に」を伴って副詞的に用いる) 面と向かって行なうこと。
※伊勢貞親教訓(1457‐60頃)「悪事をも面打にいひて教訓する人」
素焼面形(めんがた)勝負を争う子どもの遊び。めんうち。めんち。めんちうち。
随筆・嬉遊笑覧(1830)四下「此戯銭をもてうつ事は意銭(ぜにうち)の名に似つかはし〈略〉近頃は瓦にて作れる小き面(めん)がた、又は紋尽しなどを用ゆ、めんてう、紋打など云へり」

めん‐うち【面打】

〘名〙
仮面を作ること。また、その人。
咄本・私可多咄(1671)五「さきは面打也、そのはうをすこしの間やとふて、小町の面のかたにいたしたいといはるる」
歌舞伎傾城壬生大念仏(1702)上「此さるのめんは、〈略〉都のめん打にうたせて参った」

つら‐うち【面打】

※玉塵抄(1563)一三「同輩のわるいことを面につらうちにわるう云て」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「面打」の意味・わかりやすい解説

面打
めんうち

能面作者をいう。室町時代に入って能,狂言面の作者は面打と称した。十作,六作,古作,中作などと呼ばれる名作の名が知られ,十作のなかには日光弥勒,夜叉,龍右衛門赤鶴 (しゃくづる) ,氷見 (ひみ) ,徳若らの作者があり,六作には増阿弥,春若,宝来,三光坊らの作者が伝えられる。桃山時代以後は典型的な古作の模倣にとどまり,面打も専門の家業として世襲化された。近江井関家,大野出目家,越前出目家などが江戸時代を通じて活躍している。 (→能面 )

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