非遺伝性筋疾患

内科学 第10版 「非遺伝性筋疾患」の解説

非遺伝性筋疾患(筋疾患の分類)

(3)非遺伝性筋疾患
a.炎症性ミオパチー【⇨15-21-5)】
 炎症性ミオパチーの多くは膠原病に伴うもので,筋症状を症候群の中核とするものとしては多発筋炎/皮膚筋炎がある.ほかの多くの膠原病でも,筋炎や筋内の血管炎をきたすが,特に結節性多発動脈周囲炎は筋内血管を好んで侵す.その他の自己免疫性筋疾患としては,リウマチ性多発筋痛症がある.全身性エリテマトーデス,関節リウマチ,全身性強皮症,混合性結合組織病,Sjögren症候群,サルコイドーシス,クリオグロブリン血症なども部分症状として筋炎を起こす.筋炎の2番目の機序として胃癌などに伴う傍悪性腫瘍性症候群がある.
 感染性筋疾患としては,寄生虫による,トキソプラズマ症トリコモナス症旋毛虫症),細菌による化膿性筋炎(pyomyositis)および,クロストリジウム属(Clostridium)によるガス壊疽や,A群β溶連菌による壊死性筋炎(myonecrosis)があるが,いずれもまれである.ウイルス性のものはインフルエンザウイルスやコクサッキーウイルスによる急性ウイルス性筋炎やHCV (C型肝炎ウイルス)に伴う筋炎がある.
 ほかに外傷性または特発性ないし遺伝性のまれな疾患として化骨性筋炎(myositis ossificans)がある.
b.内分泌障害性ミオパチー【⇨15-21-6)-(2)】
 甲状腺機能の亢進および低下,Cushing症候群はそれぞれ特徴的なミオパチーを起こす.
c.中毒性筋疾患,その他
 表15-21-4に示す,種々の薬物,化学物質が中毒性ミオパチーを引き起こす.表に示した薬物のほか,薬物の種類にかかわらず,反復する筋肉注射は筋障害を引き起こす. 横紋筋融解症(rhabdomyolysis)に伴うミオグロビン尿症は,遺伝性筋疾患のなかで,糖原病,脂質代謝異常,悪性高熱の合併症としても生じるが,悪性症候群,外傷,感染,中毒によっても引き起こされる【⇨15-21-11)】.[清水輝夫]

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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