非点収差(読み)ヒテンシュウサ

デジタル大辞泉 「非点収差」の意味・読み・例文・類語

ひてん‐しゅうさ〔‐シウサ〕【非点収差】

レンズなどの光学系収差の一。光軸から離れた一点からの光が、曲面反射屈折したあと一点に結像せず、間隔をおいた二つの直交する線分上に別々の像を結ぶ現象

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精選版 日本国語大辞典 「非点収差」の意味・読み・例文・類語

ひてん‐しゅうさ ‥シウサ【非点収差】

〘名〙 広義球面収差うち一つ。一点から出た光線が、球面レンズ、球面鏡などの光学系で、屈折または反射されたのち、その光学系の近軸光線以外は一点に結像せず、その光軸に垂直で、しかも互いに垂直な二本線上に別々に像を結ぶことをいう。この収差をレンズの組合せで除いたものをアナスチグマートという。

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百科事典マイペディア 「非点収差」の意味・わかりやすい解説

非点収差【ひてんしゅうさ】

レンズの収差の一つ。レンズの軸から離れた一点から出た光が,レンズを通ったのち,一点に集まらず,互いに垂直で少し離れた二つの線分(焦線)に集まる現象。この点と軸を含む平面上と,それに直角な平面上とで,光線の集まる場所が異なるため起こる。非点収差と像面のそりは,レンズの絞りを小さくしてもなお残る。この2収差を補正した組合せレンズをアナスチグマートという。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「非点収差」の意味・わかりやすい解説

非点収差
ひてんしゅうさ
astigmatism

アスチグマチズムともいう。ザイデルの五収差の1つ。光軸から離れた物体上の1点から出た光が完全な1点に集束しないための収差。光軸に垂直で,かつ互いに垂直な方向に2つの焦線が少し離れてでき,その中間に比較的明瞭な像が結ばれる。この像を最小錯乱円という。乱視は眼の非点収差に関係がある。

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カメラマン写真用語辞典 「非点収差」の解説

非点収差

 点像が元の点にはならないで、楕円形や縞のようになって写る収差。点にならないから非点収差と言う。 ザイデルの5収差 のひとつである。

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世界大百科事典(旧版)内の非点収差の言及

【収差】より


[ザイデルの5収差]
 ドイツのザイデルLudwig Philipp von Seidel(1821‐96)は,単色光に対して,共軸球面系(各屈折面の曲率中心が一直線上に並んだ光学系)の光軸のまわりの対称性から収差を5種類に分類した。すなわち球面収差,コマ収差,像面湾曲,非点収差,および歪曲であり,これらをザイデルの5収差という(この五つを広義の球面収差と呼ぶ場合もある)。彼はスネルの法則を入射角xに関する三次までの近似式,sinxxx3/6で展開して,各収差の特徴を論じた。…

※「非点収差」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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